蛇にピアス
作者 金原 ひとみ
価格 1,260 円
出版社名 集英社
出版年月 2003/12
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    第130回 芥川賞   受賞
    第27回 すばる文学賞   受賞
べつに、わたしが死んだって何も変わらない。ただ痛みを感じられることだけが、生きている証。刺青も、ピアスも、わたしを他人から遠ざけて守ってくれるもの。ひとつの傷害致死事件から、静かな生活が崩れはじめる。すべてを失ったとき、主人公・ルイが見るものは…? 斬新なテーマで人間の存在価値を問いかけた話題作。

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???ピアッシングや刺青などの身体改造を題材に、現代の若者の心に潜む不気味な影と深い悲しみを、大胆な筆致で捉えた問題作である。埋め込んだピアスのサイズを大きくしていきながら、徐々に舌を裂いていくスプリットタン、背中一面に施される刺青、SM的なセックスシーン。迫力に満ちた描写の一方で、それを他人ごとのように冷めた視線で眺めている主人公の姿が印象的だ。第130回芥川賞受賞作品。

???顔面にピアスを刺し、龍の刺青を入れたパンク男、アマと知り合った19歳のルイ。アマの二股の舌に興味を抱いたルイは、シバという男の店で、躊躇(ちゅうちょ)なく自分の舌にもピアスを入れる。それを期に、何かに押されるかのように身体改造へとのめり込み、シバとも関係を持つルイ。たが、過去にアマが殴り倒したチンピラの死亡記事を見つけたことで、ルイは言いようのない不安に襲われはじめる。

???本書を読み進めるのは、ある意味、苦痛を伴う行為だ。身体改造という自虐的な行動を通じて、肉体の痛み、ひいては精神の痛みを喚起させる筆力に、読み手は圧倒されるに違いない。自らの血を流すことを忌避し、それゆえに他者の痛みに対する想像力を欠落しつつある現代社会において、本書の果たす文学的役割は、特筆に価するものといえよう。弱冠20歳での芥川賞受賞、若者の過激な生態や風俗といった派手な要素に目を奪われがちではあるが、「未来にも、刺青にも、スプリットタンにも、意味なんてない」と言い切るルイの言葉から垣間見えるのは、真正面から文学と向き合おうとする真摯なまでの著者の姿である。(中島正敏)



■読者の評価     おすすめ度平均

行き場のない心       おすすめ度
個人的にとても感じるものがあったので星5つにしました。
芥川賞はこうあるべきだとか、既成の概念がきっとあるのだと思いますが、そういったものは私にはわからないのでその視点から何か述べることはできませんが
芥川龍之介の書く緻密な文章とは全く別物だとは思いました
文章があって、構成があって、その中に精神がある文章ではなくて、精神と手が直結している文章だと思いました。文字に起こしてみて初めてそういうことなんだ、というか。気持ちが文章を生んでいるから、文章に必要なある程度の論理もないし、理解し難いのだと思います。こう思うからこうなるみたいなのがない。感情の流れが最初から最後まで衝動的で、動物的。でも理性がないわけではなく、街があって人がいて、だからこそ自分じゃない何かになりたくて、なれなくて、でもなりたくて、何もかもから自由になりたがっているというか、これを現代の若者の感情の一部と言えばそれまでですが、理性の下にある本当の本質的な悲鳴なんだと思いました。本能は叫んでたいが、でもその危うさも知っているんだと思いました。この物語を通じて、社会の中にいる人という存在が透けて見えるように思います。
誰かに何か意思があって伝えようとしている文章じゃないし、作者自身の中で留まっているというか、推測になりますが、おそらく作者も把握できてないのでしょう。
最初はグロテスクな描写に多少ひきましたが、それだけではない文章だったので、私は問題ないと思います。
刺青も平行してるけど、ピアスを題材にしたのは素敵だと思った。



不完全ではあるけど惹き込まれる       おすすめ度
以前から読んでみたいと思っていた金原ひとみさんの作品ですが、AMEBIC、アッシュベイビー、そしてこちらの順番で読み進めました。逆順だったらまた評価も変わったかもしれません。その位、一読しただけの印象で片付けるにはもったいない作家さんだと思いました。

確かにデビュー作とあって色々と未熟さ?が引っかかる点はあります。取り上げたアンダーグラウンドな題材についての描写がいまいち。野球素人が野球を題材にしたような稚拙さは否めません。また、時々印象的な一説はあるものの、全体から浮いている。「この一説をどこかで挿入したかったのだろうけど、ちょっと不自然かな」と思える箇所がいくつか。文章の技術といった面では粗削りです。

しかしそういったマイナスをカバーしてしまう程の才能を私は感じました。最初から最後まで読むのを止められない疾走感、焦燥感。
また刺激的な題材を用いているにも関わらず近頃溢れている「こんなにアブないイケてるアタシ」のような安っぽい小説とは一線を画していると感じる。後続の作品にも共通することですが、彼女の書く心理世界には、例え前述したマイナス面をおいても群を抜いたリアルさがある。決して美しくない。むしろ醜く、リアルすぎて嫌悪感すら覚えることもある。そこが実に人間らしく、つい惹き込まれてしまう。そんな魅力があると思います。

この蛇にピアスという粗削りな原石は、確実に磨かれて進化し続けています。その成長を見守るのも楽しい。今後もずっと読んでいきたいと思わせる作家、それが金原ひとみさんです。


立ち読み       おすすめ度
もしくは図書館等で充分・・・?
一度、何処かで読まれてから購入を検討されるのが賢明かもしれません。

文庫(400円)を購入しました。
普段の自分の生活には必要の無い本で時間潰しをしようとしていたので
「ふぅ〜ん、・・・で?」という感じです。
まぁ単行本で購入していたら怒りを憶えていたかも知れません。

「私のボキャブラリーの少なさがこんなところで暴露された。」との
表現がありましたが作者ご本人の事でしょうか?

『芥川賞』だからと意識して選んだのは始めてですが
今後、読みたくなるであろう作品には"賞"は不要だと改めて思いました。


なにも、ない。       おすすめ度
どうしてこの作品が評価されたのだろう??読んでいる最中から湧き出るこの疑問を抑えきれず、
ついに最後本を閉じて「ええ〜!?なんでぇ??」と。なんか知らないけど、表紙をしげしげと眺め、裏返してみたり斜めに傾けて見たりしました。なんかしかの秘密を探して(笑  感想はこれに尽きます。
それくらい、何も無い。
文章は徹底して稚拙。しかしピュアでもない。面白くも、痛くも、美しくも、無い。
「人を最も損なうのは、間違った褒められ方をされることだと思う」と、いつか村上春樹は言いましたが、
この作者が若くして芥川作家になって、「先生」と呼ばれてしまっているということは、
何かとても、良くないことのように、思います。
これからの日本の文学にとっても、何も知らずに読む、若い読者にとっても。
ほんとうに、何を評価されたのだろう? 心から不思議です。


いい意味でも悪い意味でも印象に残る小説       おすすめ度
身体改造は痛々しく、心も痛い。性行為も普通ではなく超過激な描写や言葉に嫌悪感は否めなかった。でもなんかいいところがあるはずと思って繰り返し読んでしまう。するとこんな世界にも人間らしい感情、優しさや「愛している」という言葉や人を思う気持ちや心配や不安も存在することも感じる。