作者 新井 満
価格 945 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 1988/08
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    第99回 芥川賞   受賞
都市に暮らす人々はいま、豊かな物質と過剰な情報の洪水の中で疲れきり、たしかな「自分」を見失っていはしないだろうか。「尋ね人の時間」は自分捜しの物語だ。失踪した鳥を探し求める鳥篭のように、失われたわれを求めて尋ねさすらうカメラマンと女子大生の哀しくも結ばれぬ関係―。現代人の心の空洞を描く芥川賞受賞作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

尋ね人は誰ですか?え?自分?だってここに居るんじゃ……?       おすすめ度
『尋ね人の時間』です。都会を舞台とした都会的なお話です。少なくともこの作品が発表された当時は、これが都会の姿だったのでしょう。
今は?今も都会は大きく違いはしないのでしょうが、田舎であっても都会と似たような感じになってきているように感じられます。

都会の人は豊かな物質と過剰な情報の洪水の中で疲れ切り、確かな「自分」を見失っていはいないだろうか?という問いかけが本作の一つの主眼であることは間違いないでしょう。今ではインターネットとか通販なんかも発達し、田舎も条件はほとんど同じではあると思うのです。
だからこの作品、今では都会と田舎全ての物語だと思います。

失われたもの、の象徴が、機能、というのは、現代的観点からするとちょっと単純すぎる感じもしました。家族、というのは、……こちらは時代を超えて問われ続ける王道なので、これはこれでいいのかな、と思いました。
作品全体に漂う雰囲気は良かったですね。それこそ「都会的」に洒脱でありながら、失われた喪失感、虚脱感、けだるさ、そこから派生するような淡い哀しみ……そういう空気を味わう作品なのかもしれません。