蛇を踏む (文春文庫)
作者 川上 弘美
価格 410 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 1999/08
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    第115回 芥川賞   受賞
藪で、蛇を踏んだ。「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理を作って待っていた…。若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

独特の感性と確かな表現力       おすすめ度
気になるタイトルの本です。蛇と聞くと、水神様を連想します。神様や鬼が登場する懐かしいお話を、タイトルから連想したかもしれません。
作者は、目に見えないけれど感じる気配や感覚を文章化するのが上手い。
平凡な日常から、ふとした弾みで異界に迷い込むような、あやふやな感覚をすっきりと文章で表現してくれるので、読後感もすっきりしていて清々する。
人に話すのが憚られる不思議な体験を、誰に言うともなく独白しているのを、傍で聞いているような気分になりました。
E・A・ポー、F・カフカ、泉鏡花の作品と近い位置に在る、怪奇・幻想・ファンタジー作品集です。


よくわかりませんでした       おすすめ度
正直、よくわかりませんでした。

作品全体にある不安感は感じるのですが、終わりが終わりきっていないためか、もやがかかった感じです。
内容の唐突さの割りに文章が淡白なところは好きです。

しかし、よくわからないので、☆3つ。
読者の好みで評価がわかれそうな本です。
好きな人はどっぷり漬かれそうです。


面白い       おすすめ度
SF的な匂いのする作品でも芥川賞って取れるようになったんですね。
独特の言い回しが多用されていて作者のセンスを感じました。


わからなくたっていいんです       おすすめ度
「蛇を踏む」は≪ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。≫
「消える」は≪このごろずいぶんよく消える。≫
「惜夜記」は≪背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった。≫

・・・と、三編ともいきなり「!?」と思わせる書き出し。

あまりにも抽象的な内容に、
最初から最後まで頭の中の「!?」は消えなかったのですが、
これが川上弘美の魅力なんですよねー、つまり確信犯。

あとがきで本人自身がこれを“うそばなし”と言っているし、
真剣に作品の主題を考えるような、そんな作品じゃないのかも。
きっとこれは、不思議だけどどこかザラザラした妙な世界観を
理解じゃなく感覚をで楽しむような、そんな作品なのです。

意味はまったくわからなかったんだけど、
「惜夜記」の中の「キウイ」って話が妙にツボで好きでした。

この人の頭の中はどうなってるんだろう?
とにかく類まれなる発想力には拍手☆


好きなんです       おすすめ度
いつもの世界観から離れたところで読むと体に染み渡ってゆく読み物だと思います。普段、私達が意識している時間軸、「私というもの」、そういったものの捉え方を変えて読む必要があるかもしれません。以前ならだいたいは日常をあまり逸脱しないものが好きだったのですが、川上さんの作品に出会ってからは、蛇が人間に化けるような世界に触れられるのも文章の醍醐味だと思えるようになりました。ただの虚構や圧倒的な孤独を表現しただけじゃないから好きになれたんです。