蔭の棲みか (文春文庫)
作者 玄月
価格 530 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 2003/01
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    第122回 芥川賞   受賞
大阪市東部の下町にある、迷路のような集落。そこに隠棲するソバン老の右手首は、戦争で吹き飛ばされた。朝鮮人の元軍人が補償を求めて提訴したという新聞記事が、彼の過去を蘇らせ、集落に事件を呼ぶことに…。

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■読者の評価     おすすめ度平均

独特の重く暗い世界へどうぞ       おすすめ度
作者は、在日朝鮮人。関西が物語の舞台。主人公ソバンと集落との物語。主人公はその集落の誕生からの歴史を見守る生証人として、その枯れた存在感が作品を重くしている。

盲目の主人公祐司、由子夫婦と盲目の少女美花、康先生親子をとおして在日韓国人の世界を描く「おっぱい」。

望、キム、繭子をとおして死と生と更正をとおして在日韓国人をえがく「舞台役者の孤独」を収録。



遥かなる隣国朝鮮半島       おすすめ度
良く言えば独特の、悪く言えば読み難い文章で綴られる『蔭の棲みか』。
人間の心に巣くう暗黒を率直に描いたものかな、という感じを受けました。
主要なキャラクターが在日朝鮮人なので、自動的に何か重苦しいモノを背負っています。日本人の読者が読む分には、共感することまではできても、感情移入は難しいかな、と思いました。

ストーリーの展開は、複雑という訳ではないのですが、迷路みたいで、あまり飲み込めませんでした。ある意味、迷路のような集落、という物語の舞台の雰囲気をうにょうにょと現出しているようです。

むしろ『おっぱい』の方が面白かったです。文章は相変わらずヨミニク路線ですが。日本人と在日朝鮮人の間の溝、健常者と障害者の間の溝を、重苦しくなり過ぎずにゆったりとたゆたうように描いています。でも一番深い溝はセックスレスの夫婦ですかね。