自動起床装置 (新風舎文庫)
作者 辺見 庸
価格 691 円
出版社名 新風舎
出版年月 2005/02
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    第105回 芥川賞   受賞
聡とぼくは仮眠室の「起こし屋」。昼間の毒気を吐きながら、養分を貪るように眠るモーレツ社員たちを、うまく目覚めへと導くのが仕事だ。ところがある日、自動起床装置が導入された…。眠りという前人未到の領域から、現代文明の衰弱を衝いた芥川賞受賞作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

眠り       おすすめ度
いかに睡眠時間を削り活動時間を増やすかに注力してしまいがちな現代思想。
それに真っ向から疑問を投げかけ、社会に一石を投じている。
本当に重要なことは眠りの中にあるのではないだろうか。


われわれの知らない時空間の記述       おすすめ度
眠るという行為は、ある意味非常にネガティブな部分であろう。何も生産することはなく、ただ時間を浪費する。たしかに、必要以上の眠りはそうであるが、必要な眠りには次の生産への準備という重要な役目がある。その眠りに関する記述、われわれが普段接することのない時空間の記述が非常に力強く、美しい。覚醒時と睡眠時の呼吸、早朝の音の色合い、それらはわれわれが普段意識しないことばかりだ。仮眠室に来る人間は、暗がりのため顔が見えない。そのため、仮眠室の外では昼間すれ違ってもわからない。声により推測し、顔をみてびっくりするなど、あたり前のことにはっとさせられる。眠りという生理現象を周辺をも巻き込んで文学にしてしまった著者に脱帽。おすすめです。


王子様のキスで目覚めたい       おすすめ度
寝ることが趣味で、ヒマさえあればいつでもどこでも眠っている、という人、案外たくさんいるのではないでしょうか?某マンガでは眠っている間に鮮やかに事件を解決してしまい、それを疑問にすら思わぬ名(謎?)探偵も登場するくらいですし。
本作『自動起床装置』にて描かれているのは眠りです。

作中で描かれている企業戦士達は、文字通り寝る間も惜しんで働くエリート達。でも人間であるからには眠らずにはいられません。彼らを起こすアルバイトをする主人公と、聡というバイト仲間。
起きている時間は大切です。バリバリ働くのも起きている時間です。でもだからといって睡眠時間は覚醒時間に従属するものではない。そう言われればそうです。現代人が誤解している部分を衝いてきました。
ただ機械的に起こすだけなら目覚まし時計で充分だろうし、本当に快適な目覚めを追求する贅沢をするのなら、人間の起こし屋の方が良いでしょう。どっちつかずなはずの自動起床装置と、それを利用する人間の姿に、現代人の読者は何を見出すでしょうか。

純文学としては、ラストで主人公と聡をもっと打ちのめしてほしかったところですが……