河岸忘日抄
作者 堀江 敏幸
価格 1,575 円
出版社名 新潮社
出版年月 2005/02/26
Amazonの詳細ページへ
    第57回 読売文学賞   受賞
セーヌと思しき河に浮かぶ船を仮寓とする「彼」。陽あたりのいいリビング。本とレコードが几帳面に並ぶ樫の木の棚。訪ねる者はといえば、郵便を届けにきて珈琲をのんでゆく配達夫くらいだ。謎めいた大家を時に見舞いながら、ブッツァーティ、チェーホフ、ツェランなどを再読し、ショスタコーヴィチほか古いLPに耳を澄ます日々。ためらいつづけることの意味をさぐる最新長篇。

  この著者の他の作品を検索する

著者名をクリックすると、この著者の他の作品を検索することが出来ます。

書名か表紙写真をクリックすると、 Amazon.co.jp の詳細ページに移動できます。

商品を購入する際は、移動先の Amazon.co.jp の購入ページにて、商品価格・在庫の有無や納期をよくご確認のうえ、お手続き下さい。



■読者の評価     おすすめ度平均

欠如する運動       おすすめ度
膨大なデータベースと人工頭脳を持ったロボットは、
人と同じく生きることができると考えていた。
アトムやドラえもんのようなロボットが生まれると。
だが、膨大なデータベースを処理するため、ロボットは数十分かけてたった1歩歩いただけだった。

欠如したもののために人は動き続ける。
彷徨い続ける。すでに手にした欠如のために人は生きているのではないだろうか。
強い弱さのために、人は動き続け、彷徨い続けている。
トライアスロンの表現は、思わず「わー」と声を上げてしまいました。


浮ついた気持ちの残滓だけをスタイリッシュに       おすすめ度
浮ついた気持ちの残滓だけをスタイリッシュにしたためた名文家の書籍。事物にも人間にも、もはや熱烈にあたろうという気持ちから戦略的に百歩退いて駄文をしたため、それを名調子の文章の器に盛るだけの、読後感に、人間と事物について何も新しいものをもたらしえない、退嬰的以下の駄文。この人が現代を代表する日本の作家のひとりでいられるということは、実にいやな時代に生まれてしまったものだという思いが禁じ得ない。


深い余韻       おすすめ度
読み終えた後、いつまでも余韻が残った。最近はいやに後ろめたい内容の本や前向きすぎる本が乱立しているが、本書はそれらのいずれかにも属さない。それこそ河岸に浮かび停滞する船のように。ただそこにとどまるということにも意味はあるのだと知った。今も時々拾い読みをしている。


適正な品格       おすすめ度
著者はいつも思うけど適正な品格があると思う。
高貴過ぎない品格、ちょうどいい。
「なんなんだ、この人格ぶりは?」という作家もわんさかいる中で堀江氏は読み心地がいい。
本書もそうだ。
この本が気にいったら「郊外へ」もぜひ読んでほしい。
僕は海外はアメリカと東南アジアにしか住んだことはなく欧州はないけど、堀江氏の描写はいかにも欧州な気がしてならない。
ばかな本もこの価格以上なものがあふれている。
だから本書でこの価格は適正だ。
ここも適正だ。
他と比べるなら、安い、とも言える。
★5つでないのは、描写に理解しにくい細かな部分もあること。
だからって悪くない。
いい本ですよ、これは。


バブル期入社組に       おすすめ度
「彼のなかにすんでいるジャックは、豆の木の頂上までのぼりつめ、鬼もなにもいないただの雲を垣間見ただけで、さっさと舞い戻ってくるにちがいないのだ。高い高い目的地の一角に手を触れてすぐ戻ってくるこの往復こそがたぶん日々を送ることであり、日々を重ねることだからである。」淡々と続く主人公の心情の吐露、淡々と、時に激しく・・・「自分って何なの?これでいいの?」って思いはじめているバブル期入社組にぜひ、のんびりと読んでもらいたいなぁ・・・そういう私ももうすぐ40歳ですが・・・。