槿 (講談社文芸文庫)
作者 古井 由吉
価格 1,785 円
出版社名 講談社
出版年月 2003/05
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    第19回 谷崎潤一郎賞   受賞
いつも男につけ狙われて恐怖に怯えている女と、性の記憶と妄想が分離できなくなった女に分別をもって立ち向かいながら、エロスの花咲く籬を越えていく男の姿を、濃密な文体と強靭な構築力で描いて、現代の性に新領域を切り拓いた第19回谷崎潤一郎賞受賞の長篇小説。

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■読者の評価     おすすめ度平均

記憶の逆襲       おすすめ度
とある事件をめぐり、狂気と正常の境界がせめぎあう。
そんなせめぎ合いを静かな筆致で描いた秀作。
過去が現在の「私」といかに繋がり、「あなた」によってその記憶を否定される事が恐ろしいか。
「私」と「あなた」の記憶と想いが出会ったら、「私」が現実としてきたものと「あなた」が現実をしてきたものを、どのように解釈するか、されるか。

じわじわと侵蝕するように、登場人物達の記憶が混ざり合い、謎となっていく。
しかし、積極的に謎に挑みかかるような作品ではない。
出来事がどのように記憶に残り、今の「私」に作用しているか、また、他者の記憶によって、いきなり違う自分と出会い、躊躇う。
まさしく、自分の記憶が正しい、としてきた者へ対する、記憶の逆襲というしかない。