共生虫
作者 村上 龍
価格 1,575 円
出版社名 講談社
出版年月 2000/03
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    第36回 谷崎潤一郎賞   受賞
体内に謎の「虫」を宿した、引きこもり青年ウエハラ。彼はネットを通じ、インターバイオと名乗るグループから、その虫が殺戮と種の絶滅を司る「共生虫」であると教えられる。選ばれた存在であることを自覚した彼は、生贄を求めて外の世界に飛び出してゆくのだが……!?

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■読者の評価     おすすめ度平均

物語の発散のさせ方に魅力を感じない       おすすめ度
村上龍の作品の特徴として、物語の展開に必然性がなかったり脈絡がおそろしく希薄だったりする。
そのために物語の発散(収束)のさせ方に甚大なパワーを感じたり、
読む人によって評価や好みが激しく分かれるのだと思う。

この作品もその例に漏れず、話全体のまとまりというものがまるで無い。
しかしながら、物語の発散のさせ方にまるで魅力を感じなかった。
冒頭はスピーディーでパワーがあり途中はミステリアスで良かったために
ラストのなんとも下世話で娑婆臭い締め方は残念なのです。


村上龍作品の中ではイチオシ!       おすすめ度
私はフィクションはあまり好まないのであるが、ネット犯罪、引きこもりとキーワードがくれば放っておくわけにもいかない。立ち読みでたちまちハマり、買って一気に読破した。共生虫という得体の知れない虫とともに生きるウエハラ。実際にそういう虫がいるのかどうかは読んでからのお楽しみ。この小説のキモともなる毒ガス”イペリット”であるが、偶然にも最近日本の各地で旧日本軍が廃棄した毒ガス弾が相次いで発見されており、住民に健康被害が出ている。そういう事情もあってか、内容が非常にリアルであり、ストーリーが現実味を帯びてくる。引きこもっていたウエハラがインターネットをきっかけに一気に行動を開始し、やがて戦慄のラストを迎える。


恐ろしいほどにリアル       おすすめ度
どうやって取材できたのかが不思議になるほど
1995〜2000年辺りの当時の
インターネット情勢をこれでもかというほど
生々しくリアルに書かれています

会話一つにしてもリアルで
確かに当時『お前のメールアドレスからお前の本名住所を抜き取った』
と脅す自称ハッカーさん達いました(笑)今でもたまにいるかな(苦笑)

この作品は当時ネットの掲示板等にはまってた人ならみんな
驚かされるんじゃないでしょうか。それくらい登場人物の
会話等含めてリアルなんです。


歪んだ意志とそこに見える小さな救い       おすすめ度
引きこもりの青年ウエハラが、インターネットを介して知り合った人々により、「共生虫」という寄生虫が自分の体内に存在するという妄想を広げ、殺人を犯すまでに至る小説。何よりも特筆されるべき点は、この小説が引きこもりの視点で持って忠実に、その心理状況が描かれていると言う事だと思う。それを読者として客観的に読む事で、ウエハラの行為や思考に疑問符を浮かべながらも、相通じる一面が自分の中に存在する事も思い知らされる。そういった意味でとてもディープで、そこら辺のサスペンス物と比べても、リアルな恐怖というものを感じてしまう。

丁度この小説が出来る前に、オウム真理教の地下鉄サリン事件や、神戸連続児童殺傷事件といった、これまでになかったような奇怪な事件が起こった。だが、こういった奇妙な事件は特異な例ではなく、近代化した世界ではむしろ起こりうるものであり、その犯罪を自分自身が犯す危険性もありうるんだという事を、村上龍は訴えかけているかのように思う。ウエハラの気持ちや環境を自分の身に置き換えて、想像しながら読むと本当に背筋が凍りつく想いになる。逆に「最近は物騒な事件が多いわねぇ」と一般的な常識のみで、想像する事もなく言葉を発する人々に向けて、警鐘を鳴らしているようにも感じられる。

結末に現実的な意味で希望というものは無いのだろうと思う。ただ、歪んだ思考のもとではあるが、ウエハラ自身が自ら外に踏み出していく事にほんの少しの救いというものが見られるような気がする。決してそこに正当性というものはないけれど、自らの意思で生きる事を選んだという事に大きな意味があるような気がする。自らの方法で世の中をサヴァイヴしていく力。それがとても希薄になってきている世の中だからこそ、最終的な結論を導き出したウエハラに、村上龍自らの意志を託したのではないかと思う。


悪魔       おすすめ度
肉体的苦痛や飢えが昔に比べ減り、
その代わり精神的に飢えのある人が増えました。
精神的な苦悩やそれからくる暴力は他者から見ると奇怪でわかりにくいものです。
だから日本はおかしくなっちまったと言いたがるんじゃないかと。
きっとウエハラには他に生きる方法が無かったんだと思います。
やるかやられるか
なんだか羅生門を読んだときのような気持ちになりました。

てか、思ったんですけど『遅効性』でしたよね?・・・まあ良いんですけど