虹の岬 (中公文庫)
作者 辻井 喬
価格 760 円
出版社名 中央公論社
出版年月 1998/02
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    第30回 谷崎潤一郎賞   受賞
トップの座を目前に住友を去った著名な経済人にして一代の歌人川田順と、短歌の弟子である若き京大教授夫人の灼熱の恋…。戦後の日本を背景に、二人の恋の道程を、繊細に、端正に、香り高く描く、昭和を代表する愛の物語。

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■読者の評価     おすすめ度平均

単純に、つまらなかった。       おすすめ度
父が古本屋で100円で購入してきたので、つられて私も読みました。

・・・・
うーん…正直面白くなかったです。
大した盛り上がりもなく、どの登場人物にも共感できず、ただ淡々と
不倫だか純愛だかのゆるい描写が続いていく感じでした。

主人公の「川田順」が20歳も年下の既婚女性と恋に落ちて、まあ苦悩して
自殺未遂もやらかしてしまって…というストーリーですが、戦後の日本の
苦しさや人間の業の深さ、家族を犠牲にしてでも突っ走ってしまう情熱、
その辺はいまいち追求されないまま流されているような気がします。

上流階級の品のいい方々がまったり愛を語っており、ところどころ歌が挿入
されているので俳句や和歌がお好きな方には楽しめるかもしれません。
ただ、個人的には全く好きになれませんでした。
読後も爽快感や高揚感はほとんどなく、「だから?」と呆けてしまったほどです。

しかしこの作品を読んだ他の方は「何を言うか!この物語はもっと深い部分を
ついている!」と思われる可能性もあります。
なので、いろんな方の意見は聞いてみたいと思いました。


虚に居て実をおこなふべし、実に居て虚にあそぶべからず       おすすめ度
芭蕉の言葉だそうです。夢の中にあっても現実のように行動しなくてはならない。そして現実にあって夢想してはならない。素晴らしい言葉ですね。至言です。この小説の主人公川田順の台詞として作品の中に挿入されています。しかし、この人本当にこの言葉が守れたんでしょうか?住友財閥の重鎮、由緒正しい家柄、そして宮内庁御用達の文学の教養。出来すぎクンのおじいちゃま。こんなパーフェクトなオールド・ジェントルマンが存在するんですねえ〜!そりゃあ、誰だって、京大教授の奥様じゃなくったって一目惚れです。年の差なんて問題じゃありません。と言ったところで、相手にも選択の自由はありますが。

ですけど、このふたりの道行ってあんまり読者が期待するほどロマンチックじゃないんですね。登場人物の性格そして出自経歴、結婚相手の職業は立派ですが、翻るに実際ふたりが辿った道程はごく平凡な不倫の物語になってしまった。例えば若しこのふたりが和歌の素晴らしい遣り取りをした。あのゲーテの「西東詩集」のように?それだったら、まだ素晴らしい作品になったかもしれない。でもそういうブンガク的なところが全然なくてただ何処か田舎に逃げて行って、貧乏暮らしを耐え忍んだ?それじゃあ、あんまりつまらない。そこが星三つになっちゃう理由です。


川田順に感動した!       おすすめ度
こういう男性に、例えば「恋すべき二人ならぬを花陰に夕月夜まで残りけるかな」などと詠まれたら、もうめろめろになってしまうでしょう。というような感想は、作品に対し知的でなさすぎですみません。女性側の気持ち(戸惑いなど)もすごくうまく書かれているなと思います。一流のビジネスマンであり、かつ歌人(一線を退いてからですから二足の草鞋というわけではありませんが)。こんな素敵な男性に、ぜひ今後お会いしたいです。