遊動亭円木
作者 辻原 登
価格 1,800 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 1999/10
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    第36回 谷崎潤一郎賞   受賞
真打ちを目前に盲となった噺家の円木、金魚池にはまって死んだ、はずが…。あたりまえの夜昼をひょいとめくると、摩訶不思議な世界が立ち上がる。粋人のパトロン、昔の女と今の女、わけありの脇役たちも加わって、うつつと幻、おかしみと残酷さとが交差する、軽妙で、冷やりと怖い人情噺が十篇。谷崎潤一郎賞受賞の傑作短篇集。

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???遊動亭円木は落語家だった。真打ち昇進直前に、不養生がたたって盲人となり、以来、妹夫婦が経営するマンションで世話になっている。円木と周りにいるさまざまな人々との日常の時間が、この連作短編にゆっくりと流れている。さしずめ、落語でいうところの長屋ばなしか。

???読みすすめながら、地面から数センチほど浮き上がったような感覚にとらわれていることに気づく。思えば前作『翔べ麒麟』もそうだった。非現実感というか、ファンタジーというか、この著者の筆致には、日常を描きながらも、どこか日常から離れていってしまうところがある。

???その心地よさに身を委ねていると、こんな円木の独白に出あったりする。パトロンである明楽のだんなから、大相撲の桝席のチケットをもらったくだり、「妹の声にかすかに、その目で相撲がみえるの、という色合いがこもった。あざけりの色か。悪意があったんじゃない。だれにだってそれくらいの底意はある。底意がなければ人間じゃない」。危うく現実離れしそうな物語の尻尾をつかんでいるのは、こうした残酷さだ。そんな残酷さを円木はユーモアでもって受け流す。残酷さとユーモア。あるいは怖さとおかしさ。そのどちらにも物語の色は染まらず、残酷の裏にユーモアが、ユーモアの裏に残酷さが縫いこまれて、彼らの時間がふわふわと過ぎていく。第36回谷崎潤一郎賞受賞。(文月 達)



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人間はみんな神様の居候       おすすめ度
視力を失いかけた落語家という主人公の設定がいいです。見える世界と見えない世界、夢現どちらも本当のことのよう。主人公が人生に対して醒めているようでいながら、人の気持ち、世の道理の深いところがわかるというところが面白い。落語という芸能の奥深さにも通じているようです。