センセイの鞄
作者 川上 弘美
価格 1,470 円
出版社名 平凡社
出版年月 2001/06
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    第37回 谷崎潤一郎賞   受賞
「センセイ」とわたしが、過ごした、あわあわと、そして色濃く流れゆく日々。川上弘美、待望の最新長篇恋愛小説。

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■商品案内

???川上弘美といえば、生き物とモノ、時間と空間などさまざまなものの境目が溶け、混じり合うような、エロチックで不思議な世界を描いた作品が特徴的だ。

???本書では、日常を静かに淡々と過ごしていた2人がゆっくりと近づき、季節の移り変わりとともに、互いの関係を育んでいく大人の恋愛を描いている。恋愛といっても、勢いにまかせた情熱のそれとは違う。穏やかな情愛というほうが、しっくりくるような愛だ。あのどろりとした「川上ワールド」を期待する読者はちょっともの足りなさを覚えるかもしれない。

???およそ恋愛とは結びつかないはずの2人―― 38歳のツキコさんと70代のセンセイは、近所の駅前の一杯飲み屋で居合わせて以来の仲だ。お互い1人で酒を飲み、さかなの好みがよく似ている。
?「『女のくせに手酌ですかキミは』センセイが叱る。『古いですねセンセイは』と口答えすると、『古くて結構毛だらけ』とつぶやきながらセンセイも自分の茶碗いっぱいに酒を注いだ」
???憎まれ口をたたき合いながら、2人は共に過ごすようになる。

???センセイはツキコさんの高校時代の国語の先生だ。背筋をしゃきんと伸ばし、ジャケットを着、いつも同じ黒いかばんを頑固に持っている。一方のツキコさんは独身でもてないわけではないのだが、同世代の男性に誘われてもぴんとこない。かつては恋人とさえ「ぬきさしならぬようになってしまう」のを恐れていた。そんなツキコさんが、しだいにセンセイを強く求めるようになっていく。

???30歳の年齢差を超えるというよりむしろ、センセイの老いをしっかりと見つめていくツキコさん。ツキコさんのまっすぐな思いをまぶしい気持ちで受け止めるセンセイ。進展しているのかなんなのか、じれったい、ゆったりとした2人のやりとりが、ほほえましく、安らかだ。

???川上の紡ぐ言葉と情景がやわらかで、温かく、人を愛することのせつなさがじんわりと伝わってくる作品だ。(七戸綾子)



■読者の評価     おすすめ度平均

メトロノームの恋。       おすすめ度
何度か読み返しているけど、いつもスローテンポな時間が流れる本。
いつも均一で、たゆまぬ、おちついた時間を感じる。
恋愛小説は往々にして、トップスピード時速250kmのときもあれば、
60kmの時もあるように思うけど、この本はどこをとっても時速30km。
小さな路地をゆったり走るような、ほっとするようなイメージ。
川上弘美の本は、行間を読めというけど、本当にそう。


オールドミスの願望でしょうか?       おすすめ度
どうもこの手の淡々系の小説はだめですね。何のために、こんな文章を書いているのか理解できません。用は婚期を失ったオールドミスを優しく支えてくれる人に、飲みやで出会えたらいいなという妄想小説なのでしょう。小泉今日子で映画化するときれいに見えますが、所詮は下世話な痴話話です。


ほのぼの・・       おすすめ度
先生とツキコさんのゆったりとした空気感がとても素敵です。人を好きになって二人で美味しい物を食べたり色んな場所へ出かけたり・・。恋愛って素敵だな〜って改めて実感しました。秋〜冬にかけて読みたくなります☆


俳句を前提としたお付き合い?       おすすめ度
川上弘美の恋愛小説の秀作。ひとつひとつの章がなかなかに俳味があり、風景描写も伊勢物語のような源氏物語のような、い〜い眺めがあります。汽車土瓶だの、爪の立った卸金だの小道具が泣かせる実に丁寧な造作。飲み屋の主人とキノコ狩りに出かけたり、高校時代の恩師と海辺の旅館でそれこそ夜中に俳句を捻ったり。どこか惚けた味のあるのが彼女の持ち味。

年配の男性との恋愛はお断り?と思うお嬢様方、このような嬉し恥ずかし?の男女の愛も不可ではありません。高齢化の進む現代日本の愛の可能性の拡大化を、時代に先駆けて思わず?企図した川上先生渾身の意欲的画期的名作。


映画とセットで読みたい       おすすめ度
wowowのドラマWで観て、すぐに本が読みたくなりました。そしたらまたまた映画が観たくなりました・・・で、そういう繰り返しが永遠に続きそうです。これほどすんなりと原作のイメージが映像化されている映画もすごい!(おっと、これは本のレビューでした)でもそれというのも、原作の語り口がこれぞ、川上ワールド!短く、つぶやくような月子とセンセイの会話。その会話から情景までが目に見えるのです。桜、朧月、湯豆腐・・。季節と心の動きも憎いほどです。私は、個人的には月子の同級生小島君のお茶目な物悲しさが好きですが・・。大人の恋は、子どもにはわからなくていいのです。ホント。