|
|
|||||||||||
|
||||||||||||
|
|
||||||||||||
初めてのくせして、上下に段組523ページのボリューム。
オーソドックスな装丁ながら、装画が美しく、表紙の印刷もよい。
肝心の内容はというと、
主人公ミチカがタイやインドで外国人の男と出会い、
そして別れるというシンプルな話。
でも...
ミチカはうじうじしていて無性に腹立つ性格の女だし、
愛する男はろくでもないバカ外人ばかりで、
いったい作者は何のためにこの話を書いたのかよく判らん。
小説とは文学つまり学問なのであるから、小説には何らかの形で作者の人生観が反映されており、直接的に言葉で書き記されていない行間から伝わる本質こそ文学の文学たるゆえんである、なんてことを考える人だったら面白く読めるのかも知れない。賞を取っているくらいなので、この本が素晴らしいと思う人もいるのだろう。
だが、小説を読むと言うことは娯楽でありつまり楽しむために読んでいるのであるから、登場人物の正確に共感し、行動に共感し、話の展開に共感し、結末に共感したいが為に小説を読むのであると考えている人には本書は向かないと思う。
私は後者だ。
実在するホテルの名前がたくさん出てきたり,カルカッタのサダルストリートの雰囲気が良く伝わってきて,その点はおもしろかったです。
でも,内容としては読み進むうち,展開にイライラしました。
イライラする女の,捨てられても殴られても男に縋るイライラする恋愛物語としか思えませんでした。
酔った男に殴られて,逃げようと思うけど泣いて謝られて許す,というのも,陳腐でステロタイプだけどあり得ることだと思います。
でも,最初の恋人との別れを決意するまでが,もう「そこまでやられてんだから捨てられてんだよ!早く覚悟決めろよ!」と叫びたくなるほど冗長なのに,次の恋人ができるとあっさり忘れてる?!
それに,主人公を含め出てくる主要人物の過去や家族の構図が必ず似通っていて,それが「傷」の原点のはずなのに,その根深さが現在に与える影響がよく分からない。何だか,似たもの同士が集まっているだけに終始している。
そして,最後は精神世界行き?
著者が舞台をインドに設定したことにどれほどの意図があるのか分かりません。
確かに,インドは混沌としていて生も死もむき出しだけど,そのインドっぽさがあまりうまく生かされていないような気がします。
むしろ,生きることが毎日戦いであるかの国は,恋愛の舞台にはあまり向かないのでは。
そして,著者がインドを訪れたことがある人ならば,何より,「インドを一人で旅行する人というのは,心のどこかに傷をかかえている」というのはやめて欲しい。
あまりに陳腐。
主人公ミチカに正しさを求めるならば、男に金をやってはいけないし、暴力をふるう男についていってはいけない。だが、彼女はわかっていても正しい道を選べない。三十八にもなって大人の分別がない愚かで頑固な女だ。それでいて、荒ぶる魂をもった幼女を内面に抱え、傷つき壊れた心をそのまま引き受けるミチカは、強く純粋でもある。
恋愛というよりは、成長しそこなった子どもの執着といったほうがいい。そんな想いをどうしようもなく抱えた主人公の旅は、混沌とした夢のようなカルカッタの街から清浄な氷河の谷へ、ガンジスの源流から河口へと至る。終盤近く、死んだ男友だちへ呼びかけ、「苦しみもがくあなたが」好きだったと語りかけることばが胸に残る。
ミチカのような人は好きじゃない。共感できないし、こんな人間になりたいとも思わない。けれど、癒されない心を抱えたままで、壊れた世界へ果敢に踏みだすミチカに心からの声援を送りたい。
ミチカと著書がどこまでダブっているのかなと思いつつ、ぐんぐんと読み進んでしまった。恋愛小説なの?いやインドの旅の小説なの??彼女の内面への旅???読みながら頭の片隅に??がいつもあった。読み終わって、何気なく電車に乗っているときとかに小説に1シーンがふと浮かんできてしまった。こんな感じ久しぶりです。

