作者 鷺沢 萠
価格 1,223 円
出版社名 文藝春秋
出版年月 1992/04
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    第20回 泉鏡花文学賞   受賞
なぜ少年は走り続けるのか。ある夜見た夢がきっかけとなって、龍之は死んだ父のことを調べ始める。過去帳の中に記された見知らぬ名前から明らかになってゆく父の複雑な人生。父とは誰だったのか。私とは何なのか。青年の感性をみずみずしくとらえた表題作をはじめとする三篇を収録。

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■読者の評価     おすすめ度平均

追悼       おすすめ度
「文学界」に掲載された3つの短編を収める傑作。
表題作「駆ける少年」で第20回泉鏡花文学賞受賞。
故意かどうかは判らないが、3篇いずれも
生きている社会と何らかの軋轢を感じている男たちが、
過去の経緯を振り返ることにより
現在の自分の居所を再確認しようとする物語構成となっている。

圧巻はやはり「駆ける少年」。

作家鷺沢崩自らの父親像ともオーバーラップしながら
倒産の危機にある青年実業家が
やはりベンチャーの旗手であった父親の足跡を辿る物語である。
社会という魔物に対し、歴史的経緯という縦糸を織り込むことで
個人の抱えるモンダイから、彼女のベースにある家族のモンダイへと
ストーリーを深化させていく構成は見事である。

荒削りな箇所はないとは言えない。
しかし20才そこそこにしてこの境地に辿り着いた
早熟な天才の夭折が残念でならない珠玉である。