|
|
|||||||||||
|
||||||||||||
|
|
||||||||||||
???著者は1930年神奈川県生まれ。実は小説家となる以前に、CMソングやコント、テレビ台本などで早くから名を馳せ、「元祖プレイボーイ」の異名もとった。33歳で小説『エロ事師たち』を発表、37歳で『火垂るの墓/アメリカひじき』で直木賞を受賞し、戦後日本を社会の底辺から見つめた焼跡闇市派と呼ばれた。この後もサブカルチャーの先駆的存在となった雑誌「面白半分」編集長、歌手デビュー、また53歳で参議院選で当選するなど、常にその過激ともいえる行動で世間を挑発してきた。
???著者自身がずっと意識してきたという三島由紀夫や吉行淳之介、丸谷才一、重鎮の舟橋聖一、吉川英治、丹羽文雄、新進気鋭の大江健三郎や石原慎太郎、開高健、そして編集者たち。文壇という魔界にうごめく多数の鬼才たちを、同様に時代が生んだ野坂昭如という一鬼才が活写した極私的ドキュメンタリーだが、この時代のエネルギーと磁力が我々を引き付ける。それは失われた時代への羨望と憧憬が入り混じった不思議な感懐だ。(田島 薫)
不安、疑心、生活、女房子供、才能。有名な人と格好良く難しいことを喋って、人に尊敬されたり、重く見られたい。
野坂の物語は、オートフィクションになっており、そういう言葉がない頃に、嘘を絡めてやっていた。
そこが珍しく、文体も読みなれれば調子がよい。
もう文壇はなくなったのだろうか。
文壇とは何か。本人も幾許かの考察を加えてはいるが、結局のところ明確な定義はないようだ。文壇バァ=文壇。文士の集まる酒場を通じてみた、文壇の生態。そしてTV業界から次第に本格的に小説を書き始めるまでの、野坂自身の軌跡。バァに集まるのは、野坂自身が言っているように文士にとっての湯治でしかない。しかし、それが様になった最後の時代。その残り香を本書から嗅ぎ取ることができた。
もしかしたら、文壇という世界も、この先、消えていくのかもしれない、吉行淳之介や、五木寛之のようなキャラは、この先、もうないかもしれない、という懐かしさが、あなたを包みます。若い時、熱く読んだ作家が、実名で登場してくると、その時の自分や、状況まで、懐かしく思い出されます。
この息つぎのない文体も、一緒にマラソンを走っているようです。読み終わるとほっとしますよ。

