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また、学生運動ですべてを失った主人公の喪失からの再生の物語でもある。
ルサンチマン的な要素は否めないが、それでも学生運動当時のことをあまり知らない僕としては勉強になる1冊であった。
子ども時代の妹や妻、女子高生との会話はなんだか懐かしい文体で、そうそうこれは東京山の手の若者を描いた、庄司薫の匂いだと思った。
17歳になるわが娘が、「面白いね」と言いながら半日で読み飛ばしたこの本を、私は一週間かけて読んだ。ディテールがそこそこわかるので、味わったり反芻したり、戸惑ったり時間がかかる。
50歳の「彼」の精神は、19歳の少年のままである。浦島太郎はおじいさんになるが、これは青春小説である。今はくたびれてしまった全共闘世代のおじさん達の心の柔らかな部分に、「彼」はいるのだろうか。「彼」の妹世代の私は、「傑」さんの存在が気になる。中国系ベトナム生まれで、日系アメリカ人を養父とするハワイ出身のヤクザ幹部。こんな人、いるのかなあ。
実は図書館でこの本を借りた。この一週間、無法者のストーリーに夢中になれた幸福は、国家と戸籍あってのこと?
しかし(みなさんがご指摘される)訳もなく(としか読めない)つきまとう女子高校生だけでなく、失踪後30年もずっと彼をしたい続ける妹、年下の美しい妻とか実に虫のいい男のファンタジーにちょっとうっぷ。
また大けがさせた機動隊員への罪悪感の持ち方とか一回り下の私には大いに?でした。
文化大革命や中国の貧しい田舎での生活を経験してきた男が見た「現代の日本」とは・・・。
タイトルは「鉄腕アトム」との関連を匂わせますが、ほとんど関係ありません。
一部、アトムに触れている箇所もありますが、無理にタイトルへのこじ付けをしているようなあまり意味のない内容です。
アトム(もしくは手塚治虫さん)のファンの方が関連書と勘違いしてしまわないよう一応記しておきます。
よって、タイトルと実際の内容にはかなりのギャップがあります。
浦島太郎状態の主人公が今の日本を見つめるのに、やくざやその筋の組織の抗争まで絡んできます。
少し軽めのハードボイルドとイメージしていただければ良いと思います。
私にもそれなりに楽しめたのですが、日本が熱かった時代を良く知る50代くらいの方の方がより一層楽しめることは間違いありません。
この作品をどっぷりつかって楽しむには私は若すぎたというか、知らないことが多すぎた気がします。
そして女性の視点から見れば、主人公に絡む3人の女性の描き方が曖昧だった部分が残念です。
この辺の人間関係や描写がもう少し深ければ・・・。

