いちげんさん
作者 デビット ゾペティ
価格 1,223 円
出版社名 集英社
出版年月 1996/12
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    第20回 すばる文学賞   受賞
僕は旅が好きで、なんとなく日本に辿り着き、京都の大学で日本文学を勉強している。アルバイトで、目の不自由な若い女性・京子に、対面朗読をすることになって、文学に憧れをもつ京子とうちとけていき、彼女の心に受け入れられていくのを知った。でも、京都の『街』は、いちげんさんは受け入れてくれない―。古都を舞台に爽やかに描く恋愛長編。

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■読者の評価     おすすめ度平均

透明感       おすすめ度
 昔の作品でしたが、古本屋で偶然見つけて読みました。非常に美しいストーリーだと思いました。「純文学」という言葉の意味はよくわかりませんがこういう小説のことを言うのかなぁと思いました。
 他の方が感想に書かれていたのですが、京子には「現実味がない、透明すぎる」。確かにその通りだと思いました。ただただ美しすぎる女性。こんな人いない。会話の中に、やたら比喩を用いるような感じが、現実にはありえないのだけど、物語だとまあいいか、と思えます。何だか、村上春樹の小説に出てきそうな女性だと思いました。女って結構、怖いし、ズルイ。やっぱ、そういうのが描かれている方が好きです。
 ただ、性描写はとてもリアルです。


いちげんさん       おすすめ度
とても美しい日本語の恋愛小説。
でも別れを決意するに至った経緯に納得いかず。


この人はエッセイも面白かった。       おすすめ度
作者自身をモデルにしたと思われる、京都の大学にやってきた留学生の主人公は、ボランティアで朗読したのをきっかけに盲目の日本人、京子と付き合うことになる。

スイス出身の作者が日本語を勉強して日本語で書いたという、世にも珍しい恋愛小説。古本屋さんなどでは間違えて洋書コーナーに置かれてることが多いけど、日本語で書かれたので本当は「和書」の棚にあるのが正解です。

ちょっと夏目漱石とかを連想させる純文学っぽい雰囲気なんだけど、そこに留学生の視点やユーモア溢れる文体が組み合わさって独特でいい感じ。
特に日本人には浮かばない比喩のセンスがすごく好き。汚い台所を描写するのに「ゴキブリが自殺しそうな台所」と言っていたり。

だが、主人公と京子は順調に仲良くなっていくものの、ちょっと昔の日本が舞台だから市民の外国人に対する目が特別。
電車内のオヤジは意味のわからないカタコト英語で話しかけてくるし、日本語の歌をカラオケで唄えば特別な目で見られるし、学生の群れには「ハロー!ハロー!」を連呼される。
この生きにくい社会の中で、自分を素直に受け入れてくれたのが盲目のヒロインだけだったという皮肉! 
そして日本に愛想をつかした主人公は、最終的に突然、あることを決心します。 日本の純文学には救いのないラストも多いけど、このふたりが選んだ行動は応援したい!

主人公が京都の(日本の?)悪口を言うところが露骨で、主人公というより作者本人が喋ってるように見えたのはちょびっと不満。でも、そこを除けばすごく好きな一冊です。
日本批判の要素はあっても、これはあくまでも恋愛小説。ふたりの生き方をゆっくり楽しみましょう。
それにしてもタイトルのセンス上手すぎ。最初は「いちげんさん」なんて恋愛小説らしくないと思ったけど、読んでみればこれは「いちげんさん」以外考えられない。


排他主義と中道主義       おすすめ度
 極右日本的な京都の街と、被偽善対象の盲目で美しい京子さんと、ジパングに惑う外国人の僕がつむぎだす爽やかな恋愛小説。

 対面朗読から始まった最後のシーン。強く元気な彼ら二人は、僕の中で今も生き続けている。

 二人が過ごす季節の描写が素晴らしく、とりわけ京子さんの繊細な感性に描き出される風景の比喩は、ごく控えめな二人の感情を美しく代弁している。 また、出てくる人々みな、脇役までも愛くるしい。

 言葉は手段であって、目的ではないんだと、改めて気がついた。


お気に入りです       おすすめ度
外国人が書いたとは思えない繊細な表現力に惹かれると共に感動しました。久しぶりに美しい日本語に触れたようなそんな気分です。京都の独特な雰囲気に京子と自分を重ね合わせた彼の意味する『いちげんさん』。意味するものに対する感想は人それぞれでしょぅが個人的には彼の美しくもありユーモアも感じられる豊かな表現力が素晴らしい作品だと思います。私のお気に入りの本となりました♪美しい日本語の活字に触れてもらいたく是非とも外国人の友人にも贈りたいと思いました♪