君は永遠にそいつらより若い
作者 津村 記久子
価格 1,470 円
出版社名 筑摩書房
出版年月 2005/11
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    第21回 太宰治賞   受賞
身長175センチ、22歳、処女。いや、「女の童貞」と呼んでほしい―就職が決まった大学四年生のだるい日常の底に潜む、うっすらとした、だが、すぐそこにある悪意。そしてかすかな希望…?

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■読者の評価     おすすめ度平均

ホリガイさん、かっこいい!       おすすめ度
同じ著者の『カソウスキの行方』を満喫した後、同様のあとを引くユーモアを期待して読み出した。
途中まではまさに図星、主人公である女子大生ホリガイさんの、少しピントがはずれていて情けないけどお人好しのキャラクターに共感しつつ、周囲のいかにもありがちな友人たちの日常を面白く読んでいた。

が、中盤から少し様子が違う。
ホリガイさんの周りでは、リストカット、虐待、誘拐、レイプ、自殺、シリアスこの上ない事件が続く。
一瞬戸惑わされたが、そのままホリガイさんについていくことにした。
実はホリガイさん自身も、小学生時代に同級生の男子から理不尽な暴力を受けて、その分、暴力でねじ伏せられる悔しさを知っていたのだ。
だから、いざという時に、思いきり適切な行動ができる。
最後には、現代の病理をこう描かなくては文学の意味はないとさえ思えた。
のほほんと見えていても、主人公のホリガイさんは誰よりも敏感で頼もしく強かった。
こう讃えると、当のホリガイさんは照れ笑いするだろうが・・・
始終熱くなっている必要はないけれど、私たちも「気にしないふり」はもうやめた方がいい。




タイトル買いしてください       おすすめ度
 格好いいタイトルとは裏腹に、物語の三分の二くらいは、自らを女の童貞と評する主人公ホリガイ(就職の内定の決まった大学4年の女子学生)の、不恰好な人間関係を、諧謔を利かせて描いていく。それぞれにクセがありながらも、自分の身の回りにもいそうな人々。品のない小金持ち、恋愛にしか自分の価値を見出せないのに、そのことにすら気がついていない女の子、気の弱い善人、気のいい馬鹿、だるそうに見えて気概のある女の子、そ知らぬ顔で闇に飲まれてしまった人。
 一見、青春群像風であるのだが、それだけに留まらず、この小説の核にあるのは、理不尽な暴力への抵抗である。物理的、精神的な暴力、意図的な暴力、水面下の暴力、無意識の暴力。日常のはしばしに顔を覗かせる、人を蝕む力。
 部屋のふすまにグラビアアイドルの切抜きを貼っていたりはするが、概ね平凡な学生であるホリガイを突飛な行動へ突き動かすのは、苦しんでいる人に手を貸したい、という当り前の道徳観念である。しかし、それは「苦しめた側の人間」に対する憎悪を抱えることでもある。作者はホリガイを単なる善人ではなく、憎しみの川の上に張られた救済というロープをわたる道化のように、危うくリアルに表現していると思う。
 是非、最後まで読んで、タイトルの持つ意味を知っていただきたいと思う。