名もなき道を〈上〉 (講談社文庫)
作者 高橋 治
価格 612 円
出版社名 講談社
出版年月 1991/10
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    第1回 柴田錬三郎賞   受賞
ただ1人、四高時代の教え子の中にどうしようもなく破滅的に見える男がいた。退職した教授吉松は、卒業後20年も司法試験を受け続けてきた槙山の、壮絶な人生の謎を追っていく。病院長の息子で、無器用に人から非難され奇行の限りを尽しながら、なぜか人の心に大きなものを残した男の青春。

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■読者の評価     おすすめ度平均

壮絶な堕ちっぷり       おすすめ度
本書は司法試験に20回落ち続けた男性(実在人物をモデルとする)の人生の真実を、
そのかつての指導教官が、周囲の人物と交流を深めながら探っていくというものです。
背景として、敗戦直後の教育改革及び旧制高校への憧憬が取り上げられており、
昨今の教育改革とやらも念頭に置くと興味深いです。
ちなみに、本書は著者とモデルとされる人物の遺族との間で裁判沙汰となったためか、
現在では絶版となっているようです。

一読して感じたのは、
主人公を取り巻く事情の、どこまでが実際に存在したのかということです。
主人公の様々な身勝手な言動は、
おそらく実在したモデルそのものなのでしょうが、
その原因として掲げられる、家族・友人・恋愛関係における挫折が、
あまりに劇的でわかり易く、かつ典型的なので、
かえって素直に受け入れられなかったというのが本音です。
推測するに著者自身、様々な取材を経ても、
モデルとされた男性の哀しみに肉薄できず、
とりあえず読者にわかり易い回答を羅列してみたのではないでしょうか?

さて、主人公を取り巻く師や友人は善人ばかりで、
主人公の苦悩を、その死後救済してあげています。
もっとも、彼らの独り善がりなのかもしれませんが…。

ともあれ、「人生の準備」であれ何であれ、
人生において、けじめをつけることの重要性を感じずにいられませんでした。