ひねくれ一茶 (講談社文庫)
作者 田辺 聖子
価格 900 円
出版社名 講談社
出版年月 1995/09
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    第27回 吉川英治文学賞   受賞
江戸の荒奉公で苦労の末、好きな俳諧にうち込み、貧窮の行脚俳人として放浪した修業時代。辛酸の後に柏原に帰り、故郷の大地で独自の句境を確立した晩年。ひねくれと童心の屈折の中から生れた、わかりやすく自由な、美しい俳句。小林一茶の人間像を、愛着をこめて描き出した傑作長編小説。田辺文学の金字塔。

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■読者の評価     おすすめ度平均

一茶の句は沢山堪能できますが・・・・       おすすめ度
既に、 藤沢周平「一茶」を読み終えている。ここで小林一茶に興味を持ちこの本を購入した。同じ人物題材で、別の「小林一茶」を見てみたかったのだ。

この本の特徴は、一茶の句がそれこそ沢山網羅されているところ。藤沢周平作品の比ではない。これには敬服する。一茶の「四六時中俳句ばかりを考えていた人生」はこの本で十分理解できる。また、小説ながらその句の生まれた背景も記されているので非常に解かり易い。
やはり「俳句」は、その前書きを理解してから読むとその意味、深さがよくよく理解できる。そういう意味でこの本は十分価値のある本である。更に、この時代の俳諧の世界、名を馳せた人物、師匠、仲間達が沢山登場することも魅力である。

但し、どうしても藤沢周平「一茶」と比較してしまうのだ。
当時の言葉使い、地方訛り(特に私は一茶と実家が近いので)、男目線:女目線、文書のキレ等、
「同じ題材でも書く人が違えばここまで違うか?」と思うほど。

そういう理由から読み終えた直後の感想
「やっと終わった・・・」になってしまった。

但し、いい意味で言えば、「一茶の句を十分堪能できた」。
これで十分である。これに尽きる。

■お薦め度:★★★☆☆(一茶という人物、俳諧師とは?が理解できます)


一茶の俳句と連句の格好の入門書       おすすめ度
一茶の生涯が文章と俳句のつづれ錦となって
描かれている。本書を読んで改めて一茶の俳句の
素晴らしさを知った。
とくに私が惹かれたのは数カ所の連句の座の描写
である。連句はどのような雰囲気でどのような過程
をたどって催されるのかを本書は教えてくれる。
なかでも楽しいのが上総富津の女流花嬌の対潮庵
での連句の会だ。
一茶を宗匠として花嬌の発句--かい曲り寝て見る
藤の咲きにけり--ではじまり、文東の挙げ句--
陶(とくり)の穴も霞たなびく--で終わる三十六句
の運びの描写は手に取るように、目前にするように
生き生きしている。

田辺聖子の文章の素晴らしさと知識の博さ深さ
にはいつものことながら舌を巻く。昔の女学校の
国文科出はすごい!



一茶、もし生母と早くに死別していなかったら、       おすすめ度
 俳諧の大宗匠になることもなく、山国信濃の一農民として終わっていたかもしれない・・・。この長編を読了するころにはそんなことを感じつつ、田辺聖子さんの筆致には、一茶の声音まで聞こえてきそうな生き生きとした自然児の一茶を楽しみました。万年床で身なりに無頓着、句会の席では喜々と詠み上げる。この末席に連なるというとおこがましいのですが、せめて廊下で控えている下女ような、共にその空間をその空気を共有しているような心地よい錯覚もありました。メモ魔一茶のおかげで、田辺聖子さんが一茶の「ひねくれ」を丹念に解き明かした肩の凝らない傑作です。