遠き落日〈上〉 (集英社文庫)
作者 渡辺 淳一
価格 600 円
出版社名 集英社
出版年月 1990/05
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    第14回 吉川英治文学賞   受賞
野口英世−猪苗代湖畔の貧農の家に生まれ、苦難の中上京、医学の階段を登りアメリカへ。異境での超人的な研究と活躍。英世の劇的な生涯と医学と人間性の両面を鋭く描破し吉川英治賞受賞。

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■読者の評価     おすすめ度平均

人生って凄い!       おすすめ度
笑える所 イライラする所 感動する所

総じてずっと心配しながら読んでました。
特にお金の使い方に。
論文の発表に。

この本を読んで本が好きになりました。


兎に角凄い       おすすめ度
上下巻一気に読みました。いや、凄い。野口英世は、本当に凄い。強烈な個性と、信じがたい努力。こんな人が日本にいたとは知らなかった。言葉では言えないくらい、感動した。野口英世は実に実に凄い。


彼の生き方に刺激される       おすすめ度
波乱に満ちた人生である。猪苗代から医者を目指して上京し、
さらに学者となるために、ほとんどアテのないアメリカに単身渡米し、
苦難を乗り越えて世界的な学者となっていく。
今の我々に彼のような生き方ができるであろうか。

自分の故郷、さらには日本の医学界に見切りをつけて無謀ともいえる
アメリカでの彼の生き方は我々に勇気を与えてくれる。

若い人にとって、この本は勇気を与えてくれるものだと信じる。
日本でダメなら世界があることを教えてくれる。


憤慨しながら読んでいるうちに、泣けてきた       おすすめ度
日本国民はこれほどでたらめな人物がお札になって、毎日その顔を見ていることを知っているのだろうか。周囲の人たちから借金しまくり、郷里の友人が無理して作ってくれた金までも遊興で使ってしまう。結婚の約束で借りた留学費用さえも使い果たし、婚約者を平気で捨てる。最初からそのつもりだったのだろう。これほどの人物なのだから、不遇のうちに死んでも天罰だし当然だとさえ思う。

しかし努力と集中力も並みはずれていた。この美点だけをとってみれば典型的な東北人である。また野口は農民の出身だが、維新後間もない会津若松で学んだこともあり、おそらく会津武士道の影響を受けているのだと思う。恩師のフレキシナー博士は野口の狂人的な仕事ぶりを評して、「何か宗教的な背景があるのだろう」と語っている。

最初は、野口のあまりのでたらめぶりに憤慨しながら読み進めていった。高峰博士のようなニューヨーク在住の良識ある日本人たちが、野口を避けたのは当然のことだった。しかし野口が次第に追い詰められていく様子に、いつしか同情している自分に気がついた。ガーナで亡くなる少し前、研究に疲れた野口が、「おっかあ、あさりの味噌汁が食いてえ」とつぶやく場面では思わず泣いてしまった。野口は彼の人生をまっすぐに駆け抜けて、去っていったのだと思う。読後、ほんのちょっぴり彼のことが好きになれた。いい就職先が見つからず悩んでいるフリーターの青年たちに読むように薦めたい。


破天荒な天才の伝記小説       おすすめ度
恋愛小説で名を成した渡辺氏であるが、個人的には氏の医学小説が好きである。渡辺氏は、真剣に医学を志しながらも、日本初の心臓移植の闇の部分を告発して医学の世界を去ったという過去を持っている。そして、彼の医学小説には青春を賭けた医学への思いが込められている。
この小説は、虚像に満ちた野口英世を、極めて人間臭い破天荒な人物として描き直したことで、大きな影響を与えた。
そして、偉人から、欠点が多い天才としてとらえ直すことによって、野口の魅力は増したと思う。
しかし、これはあくまで小説である。野口英世には、あまりにも常識破りの面があることは事実であるが、本書ではそれが誇張され過ぎているのも事実である。
私は野口に興味を持ち、定評のある伝記であるIsabel Plessetの、Noguchi and His Patronsを読んだ。Plesset氏の調査によれば、野口にはかなり常識的な面も多くあり、渡辺氏の描く野口は、やや偏っていると思う。
また、野口の医学的業績については、何人かの人々によって再評価されている。そのことも、野口を理解するには大切なことである。
このような欠点はあっても、渡辺氏の小説によって、野口英世が新しい命を持ってよみがえったことは事実である。