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その期待を裏切らぬ見事な展開で、宋初の燕雲十六州を巡る遼との攻防を存分に楽しむことができました。
個人的には、その後の女将の活躍まで読みたかったのですが、楊家将の武人としての生き様を際立たせるならば、北方氏の幕引きしかないのではないかとも思え、今後に楽しみを残した傑作だと思います。
父は、それだけを教えた。
子は、父の背中を見て育つ。
名声を得ながら、武人として常に戦場に立つ父を見て楊家の子達は育った。
皆が優秀であり、武人として一流だ。
こんな一族は見た事が無い。
そして、敵もまた一流。
「白き狼」耶律休哥の強さには驚きの他はない。
「白き狼」に敗れる、六郎・七郎。そして四郎も敗れる。
彼らは、敗れたことにより己を更に磨き上げ成長していく。
白き騎馬隊を育成する六郎。七郎。
大将の器を更に大きくする四郎。
下巻での「白き狼」との再戦が楽しみになります。
負け戦で、宋王が七郎に「楊家に恩賞」を与えるという。
七郎は、こう答える。
「敗者に恩賞は不要。勝ってこその恩賞です」
武人の魂を思い切り感じられる本です。
「楊家将」というのは中国では「三国志」「水滸伝」と並び称されるほど人気ある物語であるという。史実をもとに後世の人が様々な脚色をつけて「楊家将演義」「北宋志伝」という書物に描かれている。ただ専門家によれば、これらの小説のデキがイマイチで、小説よりも「京劇」で人気を博し有名になったようである。書物が不人気だったために日本では、あまり知られておらず、邦訳された「楊家将」の小説としては、この北方版が初めてであるという。
「楊家将演義」では、主人公・楊業から数世代に渡って物語は続くが、本書で描かれているのは第1世代、第2世代までである。
北方が描いた「三国志」や「水滸伝」を読んだ人なら、お分かりと思うが、北方の歴史小説が面白いのは「男の生き様の描き方」「戦闘、とくに騎馬軍団を使った戦闘シーンのリアルさ」ではないだろうか。もちろん本書でも、その特徴はいかんなく出ている。
生粋の軍人である楊業は、戦で功を立てられればそれでいいという、まっすぐな男だ。北漢が宋に征服される前に、宋に帰順した。宋では外様だった。それが、宋王朝の文官たちや、昔からの宋の軍人たちからは妬まれた。宋は兵士の数では勝るが弱兵ばかり。対する遼は、騎馬民族だけあって強兵ぞろいだ。遼は楊家の軍勢だけを恐れていた。
そうした中で楊業以下7人の息子をはじめとする楊家軍は、最前線で遼の強兵と戦う。
とくに騎兵戦を特異とする遼随一の名将「白き狼」耶律休哥との戦いは、手に汗握る駆け引きである。
千年前の中国にタイムスリップしたかのように、生き生きと戦う男たちと出会える一書である。
その延長でこの本を購入して読んだのですが、「水滸伝」のような
それぞれの登場人物が魅力的に描かれている物語を期待していたせいか、
多少人物の描写が簡単に思えてしまいました。
もう少し深く登場人物の掘り下げが欲しかったかなと思います。
中国は宋が中原を統一して、遼と争っている時代です。
楊家の当主「楊業」と7人の息子(一郎〜七郎)の楊家のお話。
7人の息子の殆んどが母が異なるせいか、息子の性格はそれぞれ。
でも親父の楊業の血は濃く、みな惚れ惚れするような戦上手。
場面ごとに主役が、楊業、7人の息子、遼国の武将、文官、帝と
入れ替わり、魅力的な人物達にぐいぐい引き込まれていきます。
戦闘場面も歴史小説の枠を超えて、スピード感溢れています。
「騎馬民族」である遼に対抗するために構成した楊家の「騎馬隊」
その騎馬同士の戦闘シーンの描写は、手に汗握ります。
水滸伝の合間に一読されても損はしない。それどころか水滸伝の
魅力を再確認できると思います。

