プリズムの夏 (集英社文庫)
作者 関口 尚
価格 480 円
出版社名 集英社
出版年月 2005/07/20
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    第15回 小説すばる新人賞   受賞
海辺の町。高校生のぼく・植野と親友の話題は、寂れた映画館の美しく無愛想な受付嬢・松下菜那のことだった。憧れと現実、情熱と挫折、そして…。瑞々しい季節を描く、第15回小説すばる新人賞受賞作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

憧れや現実を書き表した作品。ネタばれしない程度に       おすすめ度
多感な時期の少年たちの友情や年上の女性に対するあこがれが書かれています。
ひたむきさや将来に対する不安、思春期の葛藤がよく書かれていたと思います。
しかし、展開の中で偶然が重なり過ぎている感じが不自然に感じました。普通
鬱というだけでも引きそうなのに憧れている女性の心の内を知りゆく上でさら
に事態は悪化していきます。それでも結果的にご都合主義に終わってしまう。

少年が主人公の爽やかな青春ストーリーというよりも読んだ後にドロドロして
いた部分の印象が強く残りました。


作品に深みがない       おすすめ度
話自体はそこそこ面白い。
でも、登場人物が生きてないから、小説として深みがない。
主人公は高校生らしくないし、
年上の女性はうつ病といいながらもうつを感じさせる描写がない。
どの登場人物も平板で人物描写に難あり。
新人ということを割り引いても、いまひとつの出来。
この作者、あまり、可能性を感じさせない。
ただ、やめてゆく日記っていう発想だけは面白い。


ついて行きたい作家が増えました       おすすめ度
映画館で見た美しい女性と、『やめていく日記』と称する悲痛な日記をWEBサイトで公表し、死に追い込まれていくうつ病の女性。見た目は華やかなあのひとが、もしかしたら心に深い傷を負って苦しんでいるのかもしれないと懊悩する主人公の僕と今井。ホームページの匿名性ゆえに心を曝け出せる特性を上手く物語りに織り込んでいました。心から血を流して苦しんでいるのは、果たして彼女なのか憶測を呼び、サスペンスフルな展開で中盤までぐいぐいと引っ張られました。この小説の特長はドラマ性もさることながら、美しい心理描写、心の動きにあると思いました。また、『やめていく日記』の文章がとても良いです。苦悶の日記なのですが、その表現がvividで、とても全てを放棄した人間の書く文章では無く、失うことへの悲鳴を正確に文章にしておりました。日記の作者に大学院在学中の属性を与えたのも納得がいきます。小説の作者は日記を「少女趣味的」とへりくだり、韜晦していましたが、こんな日記がWEBサイトに掲載されていたら見入って仕舞い目が離せないです。
他の作品も気になりましたので、書店に寄った際は目に留まるよう作者の名前を覚えとくことにします。


まっすぐすぎる視線       おすすめ度
あまりにも、まっすぐすぎる視線とその視線がそそがれる
絶望するには若すぎる年齢の女性の言動に、違和感とジェネレーションギャップを
感じてしまった。薄さのわりには、読み終わる(くだす)までに時間のかかる
小説でした。

「後悔はまた明日生きようとするから生まれる」作中文章より。

いい言葉ですね。


さわやかな高校生の夏のちょっぴり苦い思い出       おすすめ度
今井くんと僕を、こんなさわやかな高校生がいたらいいだろうな〜なんて思いながら読んだ。NANAとANANというのはかなり安易な発想だったけれど全体的に読みやすくてさわやかな印象。ただ、最後の方は「うつ」のグロイところばかりが強調されていたように思う。「うつ」の人が「うつブログ」を書くことについてはかなり否定的だったけれど、共感しました。