桃山ビート・トライブ
作者 天野 純希
価格 1,470 円
出版社名 集英社
出版年月 2008/01/05
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    第20回 小説すばる新人賞   受賞
安土桃山時代。朝鮮出兵の本営で催された能興行で、見事な舞を見せたちほは、秀吉から喝采を受ける。 同じ頃、都の芸能の中心地である五條河原で、天下一の三味線弾きを目指す藤次郎は、出雲のお国一座の笛役者・小平太と出会う。 自由な一座を作ろうと座員探しを始めた二人は、元奴隷の黒人・弥介、ちほを仲間に加え、四人で一座を結成、諸国巡業へ。再び都に戻り、ちほの踊りと型破りな演奏、反体制的な言動で評判を集める。

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■読者の評価     おすすめ度平均

ロックだ       おすすめ度
断然、文章から聴こえてくる音楽はロックだ。客受けを計算しつくしたポップスではなく、時代に挑戦するロック。
安土桃山時代。豊臣秀吉の晩年も近づく頃を舞台にしているが、奇想天外な設定を活かしつつ、時代小説めかない現代的な言葉遣いで描かれているところが読みやすい。
文化や風俗の面では時代的な背景が書き込まれており、史実ではないことは了解できるが、本当にこんなことがあったかも、ありえたかも、あったら面白いかも、と思わせられる。
そのあたりのバランス感覚、なめらかな語り口といい、これがデビュー作かと舌を巻いた。

なにより、悲劇は出てくるのだけれども、悲劇に終わらぬ底抜けの明るさ、やむにやまれぬ熱気と活気、若々しさとと力強さを秘めているのだ。
人の持つ力を信じる。音楽の持つ力を信じる。まだまだ捨てたものじゃない。
痛快で、遊び心がたっぷりで、ノリがいい。理屈じゃなく、面白かった。


新人とは思えない凄さ、この人女なの?       おすすめ度
もし、そうだとしたらなおさら凄い。
それだけ物語が太いから。
久々に出た時代小説の超大型新人です。


青春小説だあ!       おすすめ度
ガツンと来た!ここ(レビュー)に書かずにはいられなくなった!久々の熱い小説だ。70年代にバンドやってたやつは必読。お国のバンド(一流)に行った小平太が、立場を投げ捨て、刑場の前で演る昔の仲間のバンドに戻ってくるくだりは、グッと来る。三成が築こうとしている管理社会(豊臣体制)はそのまま現代に通じるではないか。きっとそうだと思ったけど、HPによると著者も学生時代、バンドをやっていたらしい(ただしウッドストックよりうんと後)。
あの70年代に青春し、今「近頃の若者は…」とぶつぶつ行っている体制どっぷりのおっちゃん(小生)たちにお勧め。元気が出ます。


若い!勢いがいい!       おすすめ度
 宮藤官九郎で映画化されてもおかしない内容で、イキがよくて新しい時代劇なんですが、ロックって本来、反体制に反商業主義だったよね?と思わせる温故知新な側面もかなりあっていいです。歴史的なことはよくわかりませんが、戦国自衛隊的なことにしてないのも憎い。

 ただ、他のレビューにもある通り、文章がこなれているとは言いがたく、ナラティブはもっと工夫する必要があるし編集者が新人作家をきちんと推敲を重ねる意味でリードすべきだったと思うのであえて星は4つ。発想や登場人物の設定や躍動感は星10でも足りないくらいですが。


新しい、エネルギーを感じる。       おすすめ度
 織田信長が召抱えていた黒人・弥助、三味線を盗んだ藤次郎、笛師の小平太、そして踊りの天才・ちほ。
 この四人が出会い、ゲリラライブを行い、後には一座を組んで五條河原で人気を博す。
 戦乱の時代から秀吉の天下統一を経て、次第に何でもありの世界から、管理された窮屈な時代への
過渡期に咲いた破天荒なセッション。
 速いテンポのアフリカンビートと三味線、横笛のトリオに、ちほのダンスが観客を魅了する。
 う〜ん、映像で観てみたい。

 強いて言えば、視線の転換の際の処理や文章のあまさが新人らしいところだが、傾き者や新興の
商人たちなど、時代の雰囲気を生き生きと描写していて心地よい。
 次作が楽しみな作家が登場した。