でかい月だな
作者 水森 サトリ
価格 1,470 円
出版社名 集英社
出版年月 2007/01/06
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    第19回 小説すばる新人賞   受賞
宇宙的スケールの青春小説。 満月の夜、友人に崖から蹴り落とされた「ぼく」。命は助かったが、右足に大怪我を負う。そんな「ぼく」の前に、二人の変人科学オタク・中川と邪眼を持つオカルト少女・かごめ、そして「やつら」が現れる…。第19回小説すばる新人賞受賞作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

エンターテインされない。       おすすめ度
私は週に三冊は本を読むけど、これは最後まで読めなかった。
同じ賞の『となり町戦争』も同じで、あれは途中から文章が崩壊していくからだったけど、こちらはひとまず文章は落ち着いている。
理由は構成だ。
最初に衝撃的な事件が起こり、それからも「異世界」のようなものがちらちらと顔を見せ始める。
ところが、それにまつわる展開や解説は全くされないまま、総ページの半分を越えてしまう。
ではその間何を書いているのかというと、ほとんど事件性のない主人公の日常生活や、展開に直結しない夢の話だ。
心理を描くのはいいが、あまりにやりすぎると、エンターテインメントではなく純文学のできそこないになってしまう。
家族の反応、それに対する主人公の反応もあまりに型どおりで、ハッとする部分が全くない。
その主人公の少年はあまりにセンチメンタルで、読んでいていらいらする。
中川や邪眼の女の子のキャラクターも、斬新だとはどう転がっても思えない。
小説すばる新人賞は高い評価を得ているが、『となり町戦争』といい、本当のクオリティを再検討した方がいいような気もする。


“今どき”のエンターテインメント小説       おすすめ度
 親友だと思っていた相手に突然崖下へ蹴落とされる──ストーリーは唐突にショッキングで意外極まりないスタートを切る。しかも理由が解らないまま当の相手はこつ然と姿をくらまし、「なぜ」を抱えたまま梯子を外された主人公の“彷徨い”が始まる。
 ふーん。こういうのが今どきのノンジャンル・エンターテインメント小説として評価されるのね。女性作家作品の数多の例に漏れず、登場人物たちの心理描写は男にはなかなか思い至らない機微にまで軽々と分け入り、なるほどねぇ、と感心させられることしきり。ただやっぱり女性の書く少年の友情はどこか“少女の友情テイスト”が混じっちゃうんだなあ。これはもう仕方のないことだと思うけれど。
 それとこの作家さん、エ○゛ァのファン? いやこんな指摘するだけこっちが恥をかくことは解ってるんだけど、後半、(え? これって人○補○計画? 彼女ってア○カと綾○のハーフ? じゃあ超然とした彼の方はもしかしてカ○ル?)ってなオーバーラップを覚えたものでちょっと。そういうの好きな人は或はキャラに萌えるかも。
 文章もこなれてて読みやすく、描写の疎密のバランスもいいし、そこそこ面白かったけれど、総じて「上手な物語」的ありきたりさの域を出ていない気はした。今後の大化けに期待したい。


他のひとの評価そんな高くないですが…       おすすめ度
すごく良い本だと思います。初め、本のタイトルとかあらすじ文に惹かれなくて、読むのを敬遠していたのですが、杞憂でした。もっと早く読んでいても良かったと思います。よくSFと言われるみたいですが、私は児童文学よりの印象を受けました。SFの要素は無い訳ではないけれど、どちらかと言うと風味付けと言うか、メインではないと思います。登場人物が素敵です。全員が魅力的と言うか、こういうのを「キャラがたっている」というんでしょうか。薄っぺらじゃなんか全然なくて、ひとりひとりセリフがすごく良いと思います。特に中川は格好良くて大好きになっちゃいました…。それと、心理描写がすごいと思います。細かくて、なのに少しも上滑りしてない。「ああ、この感覚分かる」ってすらっとはまる感じ。経験した訳じゃなくても、すごく実感的に想像できる。…この本のすごい魅力だと思います。この本を読んだら、きっと「ぼく」も、その友達も、「あいつ」だっていとおしくなると思います。そんなお話です。中学生のときの、あの感覚を覚えてるうちに、是非読んで下さい。


自分の外で起こっていること       おすすめ度
中学生時代に感じた、世の中で起こっていることへの違和感、疎外感みたいなものが、ひたひたと「やつら」が侵食していく物語とマッチしていて、不思議な雰囲気を醸しだしている物語でした。妙に懐かしかったです。SFっぽい青春小説ですね。


ファンタジー色のないものも読んでみたい       おすすめ度
小説すばる誌上で、途中まで掲載されていたものの続きを
やっと読むことが出来ました。読み応えあります。
とてもおもしろいし、心情もよく書かれていると思うので、
今度は、不思議なことの起こらないようなふつうの人の日常を書いたものを読んでみたいです。