マレー鉄道の謎 (講談社ノベルス)
作者 有栖川 有栖
価格 987 円
出版社名 講談社
出版年月 2002/05
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    第56回 日本推理作家協会賞   受賞
マレー半島を訪れた推理作家・有栖川有栖と臨床犯罪学者・火村英生を待ち受ける「目張り密室」殺人事件!外部へと通じるあらゆる隙間をテープで封印されたトレーラーハウス内の死体。この「完璧な密室」の謎を火村の推理は見事切り伏せられるのか?真正面から「本格」に挑んだ、これぞ有栖川本格の金字塔!

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■読者の評価     おすすめ度平均

業という名のレール       おすすめ度
有栖川氏の作品は
推理小説に留ま「らせ」
(当然に意図的だと思うから
「ら」ではない)ない
その作品全体を
通すテーマがあると思う

この作品では
人間の業とか
運命とか
そういう人知の及ばないものを
鉄道というレールに乗った
列車を擬人化することで
表現したのかなと感じた

前半の導入部が
少し長く感じるのも
助走のためと
解釈すれば納得がいく

人が乗るべきレールは
その人が自分自身で選べるけど
乗ったが最後
その終点まで
自力で途中下車は
まずできない

下車できるとすれば
それは…

レールに乗ったのは誰なのか
途中下車できたのか
そしてその人の終着駅は

ぜひあなたが作品で
確かめてください


オーソドックスな本格ミステリなのかな。       おすすめ度
 オーソドックスな本格ミステリなのかな。火村とアリスの軽妙なやりとりが無いのは寂しい。それでも、このコンビが話を進めるという面での安心感はある。

 ミステリを解明するアプローチは動機面と物証面(アリバイとか密室とか)の2つがあると思うのだけど、ボクが好むのは動機面から追いかけていくもので、物証面からのみのアプローチしかない作品はあまり好きではない、そういうものを「人間が描けてない」と言いたくなるのだと思う。殺人が技術的に可能な環境が用意されているとしても、そこからの一押しが無いと殺人は行われず、逆に動機があれば技術は不要な訳で。大事なのは動機といった人間の心の動きだろう。まぁ、京極堂的に見れば「動機は万人を納得させる為の言い訳でしか無い」んだけど。『マレー鉄道の謎』は、新本格を冠するだけあって、動機面よりも物証面でのトリッキーな謎解きに重きを置いてるけど、不足している動機面(人間描写面)をカバーするのが火村&アリスのコンビなんだろうなぁ、と。

 オチはちょっと納得仕切れなかった。物語は全て決着が付くというモノではないけど、何となく。まぁそれでも読み応えはありましたです。



有栖川さんの関西弁       おすすめ度
ミステリーというのがほとんど苦手で最後まで読めないことが多いです。それはやたらとカタカナの名前の外国人が出てきて(特に翻訳)、しかもキャラクターの薄い人が多く登場してくるものは、誰が誰なのか途中でわからなくなってしまうからです。そういうのにくらべてこの作品はそれぞれの人物像がはっきりしていて、内容も面白く、最後まですらすらと読めました。有栖川さんの関西弁は本物なので、とてもかっこよく感じました。今までは小説に関西弁が出てくるとどうしても野暮ったく感じたものですが、有栖川さんに語らせるとなぜかクールに感じてしまうのが不思議です。


国名シリーズ!       おすすめ度
そろそろ火村シリーズに代表作と呼ばれるものを・・・と思って書かれた長編小説。
有栖川氏のロジックはいつもとても素晴らしい。
けれどこの作品にはところどころ、首を傾げたくなるような箇所があるのも事実。
代表作、と呼ばれるには今ひとつ、何かが足りないと思う。

とはいえ、人気の高いシリーズものなのでキャラクターに思い入れのある方は面白く読める作品だと思う。
本格の中の本格を求める人はちょっと物足りないかも?



おもしろいけど       おすすめ度
 マレーシアの様子が良くわかり、また旅に出たくなるような作品。

犯人の心理がリアルタイムで伝わらないのは一人称でかかれているものでは仕方ない。しかし、古今東西、ワトソンに始まりヘイスティングスもこのアリスと同じ立場であれだけの面白いものをかいてきた。

今回は「パズル」のような謎解きでした。それも「心理篇」。これまでの時間や路線を使ったトリック物ではないです。だから「むづかし」くて「面白い」。CLUEsが多くて四苦八苦。

余分な描写も今回は多かった気がするけど、楽しめました。いつもの作者の作品の根底にある「リリシズム」なるものがあまり味わえなまったのは残念。