リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)
作者 高村 薫
価格 740 円
出版社名 新潮社
出版年月 1997/06
Amazonの詳細ページへ
    第46回 日本推理作家協会賞   受賞
国際政治の楽屋裏を発狂させた男〈リヴィエラ〉。夥しい諜報戦士たちの血を吸込んだこのコードネームは、一人の天才ピアニストに死を賭した東京公演を決意させる。顔のない東洋人スパイをめぐって、東京・ロンドン・ベルファストに繰り広げる、流血の頭脳ゲーム。

  この著者の他の作品を検索する

著者名をクリックすると、この著者の他の作品を検索することが出来ます。

書名か表紙写真をクリックすると、 Amazon.co.jp の詳細ページに移動できます。

商品を購入する際は、移動先の Amazon.co.jp の購入ページにて、商品価格・在庫の有無や納期をよくご確認のうえ、お手続き下さい。



■読者の評価     おすすめ度平均

壮大な人間ドラマです。       おすすめ度
読み始めは翻訳小説を読んでいるようで多少の違和感がありました。

仕事柄、中国については割りと知識があり、文革、日中国交正常化、香港返還辺りの背景は理解できるのですが、北アイルランド紛争、MI5、MI6、IRA、CIAの関係が良く分からず慣れるまで若干戸惑いが有りました。

発端である1972年から1995年までの物語が記載されています。

壮大な物語であるためか、登場人物も主人公のジャック・モーガン、その恋人のリーアン、ケリー・マッカン、その恋人のサラ・ウォーカー、イギリス人とのハーフ手島修三、リヴィエラ、ノーマン・シンクレア、エードリアン・ヘアフィールド、レディ・アン、キム・バーキン、M・G、ジョージ・モナガンと多彩で、その関係も複雑に入り組んでいます。

「リヴィエラ」と言う陰に翻弄されながらも、世界の裏舞台に命を賭ける男達の執念、友情、愛情が丁寧に書かれています。
リトル・ジャックはどのように育つのかな?

久しぶりに読み終えた後に充実感がありました。

それぞれの時代に自分が何をしていたのか照らしながら読むのも面白いかと思います。


国際派サスペンスとして一応読ませるが       おすすめ度
「黄金を抱いて翔べ」に続く作者の第2作。しかし、書かれたのは本作の方が先らしい。発表時に大幅に加筆・修正されたようだ。物語は日本で起こった殺人事件に係わり、「リヴィエラ」というコード・ネームの謎を巡って、国際的なサスペンスが展開される。

相変わらず、IRAの組織やダブリンの街並み(実際、現地で調べたかと思う程)、英国の諜報機関等に対する精緻な描写が作品に迫力を与えている。しかし、日本人が北アイルランド問題やそれに係わる人間を軽々しく云々するのはどうかと思う。この問題は歴史的に複雑な事情が絡んでおり、私の好きな"U2"(北アイルランド出身)が本問題に係わる歌「Black Sunday」を唄っただけで襲撃されるという有様なのである。

本作は特に人物描写において、部分的には読ませる箇所はあるのだが、最後に明かされる「リヴィエラ」の正体を見て、徒労感を感じる人が多いのではないか。「私はミステリ作家ではない」と開き直られると困るのだが、これだけの分量を読んだ読者に対して最後にプレゼントするというサービス精神(あるいは構想力)があっても良いのではないか。


どきどき…!       おすすめ度
李欧を読んで参ってしまい、手に取りました。
読んで良かったです。どきどきしました。


各国の一部の情報部員が知っている裏事情に、主人公達の運命が絡んでゆくストーリーです。
主人公である元IRAテロリストのジャック・モーガンも、イギリス人の血をひく警視庁勤務の手島修三も、
<リヴィエラ>というコードに包まれた、大きな秘密の一端に触れたところから少しずつ巻き込まれていきます。
近づきすぎれば命の危険があることを知っていながら、
淡々と目的に向かうジャックがとても魅力的でした。

中国、イギリス、アメリカ、日本を中心にそれぞれの政府・情報機関・
警察・スパイが登場するので、多少混乱しましたが読み応えがあります。
すべてのことの起こりが歴史的事件だったりと、スケールの大きさに圧倒されました。

主人公に関わる登場人物もじっくりと描かれており、
大きな力に翻弄されながら、自分の意志を貫く彼らの人生を感じることができます。
隠蔽するほうも、暴こうとする人々も、<リヴィエラ>事件に関わった皆によって数十年の歴史ができあがっています。

シンクレアのピアノがストーリーの中に華を添えており、
きっと、ブラームスの協奏曲第二番変ロ長調を聴きたくなります。


暗くて深い世界の闇を描く傑作       おすすめ度
ひとりのIRA闘士を中心に据え、世界の裏側を描いたスパイ小説である。
高村薫の得意とする綿密に計算された構成は、登場人物の豊富さと幾重にも張り巡らされた人のつながりを生み出すことで、その真価を発揮している。とかく男臭くなりがちな諜報戦の中でも、悲恋を挿入するあたりにも著者の如才のなさが伺える。
文章に硬質な感じを受けるが、これは話が会話中心でなく心の内面や背景を緻密に描写しているからで、そこに作中人物がおもてに出さない、本音の部分を読み取ることができる。
物語は年次ごとにいくつかの章に分けられているが、それぞれに山場がある。そのためか本書を読み終わった後に、物語と同じく何年もこの世界観に浸っていたのではないかという錯角すら覚える。
読後は、暗鬱な物語に寂寥感すら覚えるが、前記した理由から壮大な物語を読み終えた達成感も同時に得られる。
この作品は、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞をダブル受賞している。


肉厚       おすすめ度
読むのに力の要る作品でした。(気軽には読めません。)
文体に触れておくと、外国作品の翻訳のようでして、少々慣れるまで時間がかかってしまったのです。

しかし、力強い文章が脈々と続くので、まさか女性の作品とは思いませんでした。「読ませる」文章は素晴らしいですね。

作品としては、主人公が前後半でテロリストのジャック、警察官の手島と分かれます。

それぞれが「リヴィエラ」というキーワードを巡り、思想・策略などが交錯するのですが・・・

手塚治虫作品のように主人公格のキャラがことごとく死んでいったり、「リヴィエラ」があれだったり、重要なキャラの正体が曖昧なままだったり。
そういった部分は惜しいと思うのですが、それでも外国の土地に思いを馳せながら、十分に肉厚なストーリーを楽しむことができると思います。
重厚な作品をお求めの方に是非。