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■読者の評価
おすすめ度平均
読み応え十分、重厚で精緻な歴史ミステリー おすすめ度
「第58回日本推理作家協会賞・長編部門」受賞作の早速の文庫化ということで、久々に上・下巻に及ぶ読み応えのある歴史ミステリーを味読した。
作者の戸松さんは非常に寡作な作家で、1979年のデビュー以来、26年間に4作品しか書いていない。しかも4作目の本書は前作から実に17年ぶりの新作である。
舞台は南北戦争勃発前年の1860年のニューヨーク。江戸幕府の遣米使節団の歓迎に沸き立つ最中に本格パズラー風の不可思議な殺人事件が次々と起こる。
それらを当地の新聞社の古参記者と若手挿絵画家が、当時のアメリカの社会情勢や政治状況(主に黒人奴隷問題)と有機的に結び付けて解決してゆくという非常に凝った、重層的な構造の作品で、そこらあたりが単なるパズラーや歴史ミステリーを凌ぐ重厚さをかもし出している。
当時のアメリカの社会情勢や北部の大都市ニューヨークの社会風景が極めて精緻に描かれており、日本人の作家の手によるものというより、まるでアメリカの作家の翻訳ものを読んでいるような錯覚を覚えた。
作者の戸松さんは非常に寡作な作家で、1979年のデビュー以来、26年間に4作品しか書いていない。しかも4作目の本書は前作から実に17年ぶりの新作である。
舞台は南北戦争勃発前年の1860年のニューヨーク。江戸幕府の遣米使節団の歓迎に沸き立つ最中に本格パズラー風の不可思議な殺人事件が次々と起こる。
それらを当地の新聞社の古参記者と若手挿絵画家が、当時のアメリカの社会情勢や政治状況(主に黒人奴隷問題)と有機的に結び付けて解決してゆくという非常に凝った、重層的な構造の作品で、そこらあたりが単なるパズラーや歴史ミステリーを凌ぐ重厚さをかもし出している。
当時のアメリカの社会情勢や北部の大都市ニューヨークの社会風景が極めて精緻に描かれており、日本人の作家の手によるものというより、まるでアメリカの作家の翻訳ものを読んでいるような錯覚を覚えた。
1860年のNYが魅力的 おすすめ度
2005年日本推理作家協会賞長編部門受賞作。
1860年のニューヨークを舞台にした歴史ミステリー。
日米修好通商条約批准交換のための日本使節団が、サンフランシスコを
経て、いよいよニューヨークにやってきます。その直前から、
ニューヨークでは殺人事件が連続して起こり始めます。
手の込んだ残虐な殺し方と、死体に残された聖書からのメッセージ。
不可解な謎に新聞記者ダロウと挿絵描きフレーリが、日本使節団の
取材を交えながら、挑みます。
実はミステリーがかすんでしまうほど、この時代のニューヨークが
魅力的。18世紀建築様式の家々、豪奢なホテル、新しい商業施設、
ブロードウェイといった街並み。
その暗部としてのアンダーグラウンド。文字通り、運河を引き入れた
地下に、迷路のような地下街が生まれ始めます。
また国の暗部としての黒人問題。この翌年に南北戦争が勃発します。
これらを描くとともに、日本という未知のエキゾチックな東洋人を
歓迎する人々の熱気を描きます。これほどアメリカ人を
熱狂させたことを、著者は当時の新聞から丹念に拾い、
考証を重ねています。この時代の日本人をアメリカ側から描いた
貴重な歴史小説でもあります。
さらに海外ミステリーを意識した精緻な描写と文体。
細かなしぐさや服装まで、研究し尽くされています。
物語は、政治と社会状況が事件を生み出していく過程をつぶさに
語ります。
あらためてアメリカがたどった19世紀を思いおこしました。

