黒い白鳥 (創元推理文庫)
作者 鮎川 哲也
価格 882 円
出版社名 東京創元社
出版年月 2002/03
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    第13回 日本推理作家協会賞   受賞
久喜駅近くの線路沿いで見つかった射殺屍体の身許は、労使抗争に揺れる東和紡績の社長と判明した。敗色濃厚な組合側の妄動か冷遇の憂き目に遭う新興宗教かとかれるが捜査は膠着。一条の糸を手繰って京都から大阪、そして九州へ向かう鬼貫警部が香椎線終着駅の町で得たものは?

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■読者の評価     おすすめ度平均

作者の黄金時代       おすすめ度
『憎悪の化石』と並行して執筆された鮎川哲也黄金期の作品です。私は彼の作品を読むのは3作目ですが、その中で本作が一番面白いと感じました。もちろん中心に位置するのは時刻表を使ったアリバイ・トリックなのですが、それだけでは終わりません。普通はアリバイものというのは読者には犯人はあらかじめわかっていますが、本作では作者の周到なミスディレクションのおかげでフーダニットの魅力も勝ち得ています。

また、本作の背景として企業の労働争議が描かれていたり、遊郭に勤めていた女性が過去を隠そうとするというプロットもあったりして、社会派の要素を巧みに導入しているのも興味深いです。当時、鮎川は松本清張をライバル視していたようで、その影響なのでしょう。有栖川有栖による入魂の解説も魅力的です。



あまりにも精緻な       おすすめ度
昨年なくなった本格ミステリの巨匠の代表作。鮎川の凄さは犯人指摘の決め手となる手掛かりの提示の仕方にあるが、本作のそれは特に堂々たる見せつけぶりである。鮎川哲也は自信満々なのだ。二つの鉄道トリックも素晴らしく、アリバイものの真髄が味わえる。