永遠の仔〈上〉
作者 天童 荒太
価格 1,890 円
出版社名 幻冬舎
出版年月 1999/02
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    第53回 日本推理作家協会賞   受賞
再会は地獄への扉だった。十七年前、霧の霊峰で少年たちが起こした聖なる事件が、今鮮やかに蘇る―。山本周五郎賞受賞作から三年余。沈黙を破って放つ最高傑作ミステリー。

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■読者の評価     おすすめ度平均

本書を読めて良かったなと思った。       おすすめ度
 似たようなタイトルで「大地の子」という山崎豊子の大河小説がある。こちらは「子」だが、本作品は「仔」の字をあてている。
 山崎作品では、二つの国・二組の両親に挟まれた主人公が、成長と共に自己の存在を位置づけていく自立した人格として「子」の字が使われたのだと思う。一方、天童の作品では、親の庇護の元で存在する場所を与えられている子、さらにいつまでも自立できない精神的な子どもである大人を象徴して「子」の傍らに親が寄り添う「仔」の字なのではなかろうか? または「子」を独立した人格として認めて、お互い理解し合う存在としての友人を象徴する他者として、「人」が寄り添っているのかもしれない。
 主人公たちを取り巻く環境は辛く悲惨である。そん中で、親子関係では構築できない信頼感や、救済されない気持ちが、閉ざされた空間で出会った異性の友人との間で成立するというのは一種のおとぎ話にも思える。また誰もが自分や家族に対して真剣に考えていて、それを相手にたいして真摯に語り、自分の考えや気持ちを伝え理解を得ようとする場面がある。これも現実ではなかなかあり得ないだろう。おとぎ話の形でしか救済の物語が描けないほど絶望的な状況に我々はいるのだろうか。思わず、身近な誰かに問いかけたくなる。
 「生きていてもいいんだよ」というメッセージに辿り着いたとき、本書を読めて良かったなと思った。


「力」がみなぎった作品       おすすめ度
2000年度版このミス10 1位。
1999年文春ミステリーベスト10 2位。
2000年 第53回日本推理作家協会賞長篇部門
第121回直木賞候補作品

作者の代表作品。
直木賞の選考では、選考委員の大先生方に「作品が長すぎる」「子供同志の会話が子供らしくない」等々の評価を受けたようであり、実際読んでみると、なるほどその通りである。しかし、その不器用さゆえ、読者に強いメッセージが伝わっているように思う。作品自体は過去と現在に起きた殺人事件を軸に展開するミステリーとなっているが、まず作者が作品を通して伝えたいメッセージがあり、その表現方法としてミステリーを選択したように感じた。とにかく「力」がみなぎった作品である。


完璧です。       おすすめ度
これ以上の作品はないと思いました。ミステリーの中では私の読んだ中で一番です。
 心を病んだ者の心情を丁寧に描いています。嵐を避けて、大きな木の下の穴で「生きてていいんだ、生きていいんだ」を3人で繰り替えすシーンは、最も好きな箇所です。
 ミステリーとしての物語も完璧で、最後は「あっ」と叫ぶほど、驚きでした。絶対のお勧めです。長編ですので、まとまった長い休みにじっくりと読むことをお勧めします。


ドラマは豪華キャストだったね       おすすめ度
数年前にドラマを見ていたから
登場人物をそのときの俳優さんに当てはめて読み進めていったから
読みやすかった。先を知りたくてぐいぐい読めた。
早く下巻が読みたい。


家事、子育て、介護       おすすめ度
作品中に家事、子育て、介護をしなくていいのは子どもだけではないか、という内容を読んだ時にはっとした。
この三つは人間の義務であるが、それを果たしている大人は少なく、だからその足りない部分を人間は協力しあっていくことが必要だという内容だったと思う。

決して恵まれた環境で育たなかった優希たちのような人は、自分の育てられた子育てしか知らず、そうしてしまうとわかりながら、同じような子育てを繰り返してしまうことがある。だから梁平のように親となることを恐れる人もいる。

ここで「協力」なのだと思う。優希たちはすべてのことを「自分がもっとしっかりしていれば」と背負い込んでしまう。自分で自分を責め閉鎖的になるのではなく、周りに相談し協力してもらえばいいのだ。これは優希たちのようにあまりにも辛い過去を背負っている人には難しいのかもしれない。しかしすべての人に言えることだと思う。

この作品に対する感想としてはあまりにも幼いものだと自分でも思うが、自分が幸せに育ててもらったことに感謝しつつ、親、子どもを大切にすること、そしてうまくいかないことは協力しあっていくこと。大切で当たり前のことを学びなおした気がする。