悪人
作者 吉田 修一
価格 1,890 円
出版社名 朝日新聞社
出版年月 2007/04/06
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    第61回 毎日出版文化賞  受賞
    第34回 大佛次郎賞  受賞
    本屋大賞 2008年   受賞
なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう――携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。再び彼は別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか? 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。一つの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描いた渾身の傑作長編。

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■読者の評価     おすすめ度平均

この寄る辺のなさは何なのか       おすすめ度
この本を読んで最初に頭に浮かんだのは、
NHK特集の「無縁社会」だった。
私ももうずっと長いあいだ、1人で暮らしているが、
正直、寂しさや孤独には耐えがたいものがあり、
毎日を生きるのはやっと、と思うこともときどきある。

社会は流動化し、核家族も崩壊、単身世帯が増加しているそうだ。
地方は疲弊し、シャッター通りは田舎に行けばどこにでもある。
社会の紐帯は完全に弛緩しきってしまっている。
この弛緩しきった社会、関係の網目を以前のように戻すことは
もはや無理であろう。単身に慣れた人々には「世間」と呼ばれるような
関係の網目は逆に息苦しくも感じられるに違いない。

しかし、人々は孤独に苦しんでいる。周りを見渡せば、
なぜこんなにもみんな孤独で、生きることに苦しんでいるのか、
そう思うような人々ばかりである。

すべてを社会のせいにするつもりはないが、
国政や地方自治体レベルで、もっとこまめにセーフティーネットを
幾重にも張り巡らして、人々を孤独から救う方法を
まずは政治が考えるべきだろう。
だが、そのうえで、個人でもできることはあるはずだ。

私の身は寄る辺ない。
私も本気で誰かに出会いたい。
そして、誰かを愛し、愛されたい。
しかしもし、私が愛されていることに気づかないのならば、
私は誰かを愛することもできないのかもしれない。

祐一は、本当に孤独だっただろうか。
祖母の祐一への愛に、もっと深く気づくことはできなかっただろうか。
祖母は、祐一への愛をもっと、もっと深く伝えることは
できなかっただろうか。
佳男は、佳乃への愛を、もっと、きちんと伝えることは、できなかっただろうか。

大切な人を失ってからでは遅すぎる。

あなたを愛している、
その気持ちを、本当に大切な人に、
もっと深く相手に届くように、伝えよう。

そう思った。


何でこんな単純な話が受ける?       おすすめ度
新聞で読んでいました。
前半、サスペンス調で毎朝新聞を読むのが楽しみでしたが、
後半で、あれれれれれ???

だれが「悪人」なのか?
普通に考えれば殺人者が悪人だが、
本当にそうと言えるのだろうか?

問いかけ自体は大きな可能性がある命題だけど、
「殺人者祐一が悪人と言えるわけではない」と言いたいあまりに、
軽薄な大学生(名前失念)の分かりやすい卑怯さ・軽薄さ、
母親に金をせびって母親の罪悪感を軽減させるエピソードも単純すぎ、
佳乃にいたっては、
幽霊になってまで祐一を弁護するような発言をさせるなんて・・・。

なぜか、これら単純な人物描写は「金色夜叉」を思い出させます。

それにしても、佳乃の恋愛ってなんだったんでしょうか。
あんな軽薄学生を本気で好きだった・・・???
そして、佳乃を振った軽薄学生に
「娘の純情を踏みにじったやつ・・・!」
とナイフを向けようとするバカ親。
娘が振られたからって、相手を憎むか???

目も当てられない展開に、
新聞小説って大変なんだな、
作者もきっと、こんなできばえでは辛いだろうな。
なんて思ってたところ、
え、賞獲った? え、映画化・・・? ええええええっ!

世の中分からないものです。


誰が悪人なのか       おすすめ度
一気に読みました。読めました。
登場人物に同情したくなったり、こいつは最低だと思ったり、
そんなばかなと思ったりしました。
どの人物も、弱かったり情けなかったりして、
感情移入できるようでできない・・・。

いったい悪人は誰なのか。悪人とはなんなのか。
見る人によって、立場によって、悪人とは、はかわるはず。
結局最終的に、たまたま彼は悪人になってしまった。
選んで悪人になってしまった。
後味は・・・悪いです。


“悪人”って? “悪い人”って?       おすすめ度
“横道世之輔”から2冊目です。今回も著者にやられてしまいました。う〜ん、わかっていても?辞められんな。今回も一気に読んでしまった。参りました。著者にはまってしまった!次は“パークライフ”読もうっと!


1日で読んでしまった!       おすすめ度
前半は、人物描写・設定とも魅力的で、夢中で読みました。

ところが、光代と祐一が会って数分で安く結ばれたあたりから、失速感が。 2人とも、現実の世界から逃避したかっただけで。相手は誰でも良かったんじゃないの? コレのどこが純愛なんだろう?

いかんせん光代が退屈な女性で読んでいて辛かったです。頭が悪いうえ、自分の都合で祐一の自首のチャンスを奪うような、自己中な女だったりで。


涼香や美保みたいな、現実世界を逞しく生きる女子に、もっと絡んでほしかったです。