メタボラ
作者 桐野 夏生
価格 2,100 円
出版社名 朝日新聞社
出版年月 2007/05/08
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■読者の評価     おすすめ度平均

なんだこの終わり方・・・       おすすめ度
物語の序盤から中盤は、息つく暇も与えないほどの力量で読ませてくれるものの、
終盤に差し掛かってからは「え、あと○○ページしかないのに、どうやってこの状況をまとめるんだろう?」という不安のほうが先にきてしまった。
で、終わってみたら、なんだこれ?という感じ。
まさに「置いてけぼり」という感じがぴったり来る読後感。
なんじゃこりゃー。


面白かったけれど       おすすめ度
一晩で読みきってしまうほど面白かったけれど
読み終えて感じたのは虚無感みたいなものだけだった。
ラストが、本当にあそこで終わっていいの?という感じ。
ただひたすら鬱にさせられただけで、むしろ不快感が沸いてきた。

桐野さんは、作中の人物に愛情を持っているんだろうか?
ただ時事的なネタをのせるためだけのコマのようにでなく
主人公に愛情を持って、少しでも希望を抱けるようなラストにしてほしかった。
こんなひどい時代だから甘いことは書けないというのは分かる。
しかし、偽装請負や沖縄など、色々な時事問題を取り上げるのなら
中途半端にたくさん盛り込むだけで、
何の解決策も見出させないまま、どんどん次へ次へ、というのは、
要するにただ話題のネタを扱って、注目させればいいと思っているだけのように
感じてしまうのだ。非常にマスコミ的というか。

ただの娯楽作品として読むとしても、あの終わり方は納得がいかないし。

個人的には、非常に消化不良な作品だったと思う。


期待通りの快作・力業です       おすすめ度
さすがキリノ!

「東京島」からさかのぼってこの本にたどり着きました、あばーなんとなんとすばらしい快作ばーよ。壊れゆく家族の肖像、ネオ蟹工船ともいわれる派遣仕事の救いのなさ、ネット自殺、ホストクラブの世界、癒しの楽園と裏腹な沖縄の真実・・・現代の日本の問題点について詳細なレポートを何十部も読んだような充実感があります。しかもそれぞれのエピソードは重層的に渦巻いて、章ごとに語り手が変わっても、一つ一つの小道具の位置から光の加減まで変わらない緻密に計算され尽くした世界を堪能いたしました。これこそキリノワールド!。最後に慈叡狗ことアキンツが冷たくなっていくシーン・・「真夜中のカウボーイ」をちょっと思い出しました。

星が5つまでしかあげられないのがくやしいくらいです。


ぐいぐいラストまで引っ張ってかれる       おすすめ度
主人公の男の過去が気になって、決して楽しい話ではないのに、いやむしろ、だんだんつらくさえなってくる
話なのに、ラストまで一気に読まされてしまった。
自分がイメージしていた、リゾート・アイランドとしての沖縄と、この本に書かれている生活する土地としての沖縄のギ
ャップが悲しく、消化しきれなかった。
しかし一番つらかったのは、主人公の家庭。
親は選べないと言う。
じゃあ、その運命をどうすれば…?というところには全く触れていない。
そういうことではなく、現在の若者の姿を描くことにより、社会構造の矛盾や、理不尽さを浮かび上がらせた
かったのだろうということは分かるのだが、ここまで辛い話に付き合わされ、誰にも感情移入できず、何か
素晴らしい啓示が得られるでもなく…疲労感、絶望感だけが後に残ってしまった。
何か、もう一歩踏み込んだ何かがあれば…。
環境をどうすれば…という部分で、最後に力のある強い結論が欲しかった。


搾取される若者       おすすめ度
沖縄を舞台として、方や仕事をしっかりこなしていくタイプ、もう一方がそれとは反対に女好きで自分の思うように生きようとするタイプの、正反対の二人の青年の生き様が描かれている。そこからは、上の世代の大人たちのよって振り回され、搾取される若者像が浮かび上がってくる。いくら真面目に働いても、あるいは好きなように生きても、大人たちによって人間を破壊されている、という強烈なメッセージが伝わってくる。
そうなったのは誰の責任なのか、その怒りをどこに向ければよいのか、破壊されつつも、怒りの矛先がわからずに、口を封じられていく様は見事に描かれている。沖縄という舞台も、本土の人間と沖縄の人間の認識の違いが浮かび上がらせることによって、日本本土の人間像がくっきりと浮かび上がっているのに役立っている。そこでも、本土の人間の人間性が失われていることを暗に浮かび上がらせている。
格差社会、経済問題の人間に及ぼしている影響が、具体的にどのような人間を作り、また人間を追い込んでいるか、強烈に浮かび上がらせている。