作者 有栖川 有栖
価格 693 円
出版社名 角川書店
出版年月 1993/12
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■読者の評価     おすすめ度平均

なかなか洒落ています       おすすめ度
火村教授(作家アリス)シリーズ第2弾。前作と比較するとキャラクターの輪郭が整ってきており、犯罪心理学者をいいことに警察内部に入り込む火村とワトソン役である有栖川のコンビの推理が楽しい。物語はサルバドール・ダリの人間的な背景を重要視している。つまり女性を巡る物語であり、プロローグとエピローグに帰結させる展開は、どこか神秘的な匂いさえ感じさせる。また作家有栖川有栖の隣人である女性(と鳴かないカナリア)が登場するあたり、作者のユーモアも効いており洒落ているね。事件そのものも奇想天外で、フロートカプセルに浸かりたくなること必至。トリックに挑む火村が格好良いんだな、また。


ダリの繭と私の繭       おすすめ度
「繭」という名の 殻が
自分にとって何なのか

そして
それは その人の人生を
どれくらいの割合で占めるのか

大半だと言う人もいれば
必要ないという人もいる

私自身は後者のタイプなので
フロートカプセルに 篭る社長の習慣を
最初は馬鹿にして 読んでいた

しかし
他の登場人物の持つ「繭」を 見ていて
手段が違うだけで
そこ(繭)に 求めるものは
同じなのかもしれないと
気付かされた

つまり
自分が(本能に近い)自分らしくあれる場所が
繭なのではないか

それを意識した途端
繭の数はゼロに近いほど
少ないことを痛感した
どうやら私にも繭は必要だったようだ

あなたも自分の繭が 何なのか
探してみてください



フロートカプセル       おすすめ度
有栖川、火村コンビの推理も冴えてますが、サスペンスとしての謎解きよりも作品の世界観が好きです。

何より気になったのはフロートカプセルでした。中に入ってリラックスしてみたいな、と小説を読みながらずっと思ってました。




ダリ好き?       おすすめ度
 火村シリーズの一冊。
 謎を盛り上げるだけ盛り上げておいて、結末が…。
 鳥羽・伊勢志摩への探索行が出てきたりして、旅情ミステリへの転向かと思わされたが、別にそういうことではないらしい。
 ダリの夫人であったガラをモチーフに、著者にとっての女性を描くことがテーマのミステリ。女性とはどういう生き物なのか、という男性にとって永遠の疑問に、ひとつの答えを出している。
 でも、それはミステリ以外の場所でやって欲しい。


加筆版です       おすすめ度
この単行本は、元々文庫書き下ろしとして角川文庫で上梓されたものの加筆版。
有栖川&火村コンビ第二作。
二人のボケツッコミ(主に有栖川のセルフボケツッコミだが)もスムーズになってきていて、まずはそれが楽しい。

舞台設定は奇妙だが、毎回のことながら人物設定が巧みで書き分けもわかりやすい。動機は恋愛かそれとも財産争いか?という正に「色か欲か」という基本だが、容疑者が次々と出てきては最後まで二転三転、火村もあちらこちらへと迷う。本格推理として期待を裏切らない作品だ。

「国名シリーズ」の短編が限られた紙数の中でのアイデア勝負、純粋パズルの一気呵成な感じであるのに対し、長編はじっくりと二人のやりとりが楽しめる(この傾向は、長編最新作『マレー鉄道の謎』ではアリスの余裕も垣間見せつつますます期待が高まる!)。

特にこの『ダリの繭』では火村の意外な面や微笑ましいやりとりが多い。何せ、のっけからアリスの出版と火村の誕生日祝いを兼ねてフランス料理屋で食事である。友人が少ないのかどうなのか。もちろんこのシーンも本編に関係があるところがまたにくい。その他にも・・・(あとは本編でご確認を)

陰鬱に終わらない読中感、読後感も、悲しみを損なわずに余韻を残す。枝葉の部分の構築も細かくて隙がない。
特に犯人が明らかになる大詰めの書き方は悲しくもすがすがしい。
有栖川も知らない火村の過去も、次作『海のある奈良に死す』以降でも少しずつ明らかになっていくことだろう。こちらも興味津々だ。