約束
作者 石田 衣良
価格 1,470 円
出版社名 角川書店
出版年月 2004/07/27
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■読者の評価     おすすめ度平均

傷ついた人がふっと立ち上がる瞬間。       おすすめ度
石田衣良の短編集といえば、都会の若い人たちがおしゃれなやりとりをする、
一昔前のトレンディドラマ(懐!)風味のものをいくつか読んだことがありますが、
これは、人の心が理不尽な外的要因(突然の事故や犯罪など)によって傷ついて
それが誰かとの「約束」で再生していく…そういうお話ばかりを集めた短編集です。

作者が、池田小学校の殺傷事件をきっかけに時には涙を流しながら描いたと
いうだけあって、読んでいて「こんなことがあったら心が壊れそうになるよ」と、
それぞれ「友達が通り魔に目の前で襲われた」「家族が突然大病をした」などなど、
ありえるけどさほど頻繁に起こることはないし、あってほしくない設定の短編ばかり。
だけど、そんな経験が無い普通の生活をのんびり送っている鈍感な人がだらだら
読んでも、いつのまにか引きこまれる力がある小説ばかりで、一気に読みました。

運動も勉強も出来た親友を通り魔に刺されて「僕が死ねばよかったのに」という
小学生の男の子の言葉も、それを聞いた両親が「悪いと思うけど、私たちはあなたが
生き残って良かったと思ってる」と言う、言ってはいけないけど正直な答えも、
実際にその場で聞いているようなリアリティ。

傷ついた人がすっきり立ち直る話って、ドラマや俗っぽい小説だと大体
「それ、立ち直ってないけど妥協してそういうことにしただけだよね?」
(例えば「セ〇チュー」でいとしい少女が死んで10何年も引きずっていた
主人公が、映画やドラマだと、中途半端な恋愛をして「これでよかったんだ」と
なんかムリにまとめてるようだったり)みたいな、読んでいてウソっぽさを
感じるのが多かったのですが、この短編集は「絶望から1歩浮上する」という
その浮上する瞬間をさらっととらえたみたいで「あ、なんとかなりそう?
糸口、見えた?」と主人公たちが歩き出したことにほっとする。そんな感じです。


希望       おすすめ度
人生を一度諦めた人が、再生していく七編の短編小説が収録されています。

石田衣良さんの本に「LAST」という本があります。「LAST」は、追いつめられた人間の最後の一閃を描き出した作品で、読んでいるこちらまで追いつめられているような、気の弱い人だと心身共に健康な状態でないと完読すら危ぶまれる(途中で挫折しました…)作品でした。

ところがこの本は、心に不安を持つ人に希望を与えてくれます。犯罪被害や不登校、病気などで明日を生きる希望を失いつつある人々に、生きることの素晴らしさを教えてくれます。もちろん、そのような苦しい状態にある方だけでなく、ただ漫然と生きている私のような人にも、希望を分け与えてくれます。

ちなみに、表題作「約束」は、池田小学校事件の被害者を思いつつ書かれた作品だそうで、被害者を思うあまり、涙しながら執筆したとのことです。このような事件は二度と起きて欲しくないものです。


軽やかな連作集       おすすめ度
収められている多くの作品に、死の影がちらついているのにも関わらず、不思議と軽やかな読み心地の一冊です。
特に、交通事故で片足を失いわがまま放題の一人息子がダイビングに熱中し出す「青いエグジット」や、小学四年生の息子が心因性の難聴になる「天国のベル」など、<家族>がキータームになっている作品に<さりげなく輝く明日>のようなものを感じて、ほろりとしました。

どの作品も品がよく、著者のうまさは存分に伝わってくるのですが、あまりに滑らかに読めてしまう。もうちょっと引っ掛かりが欲しいと思い、星は3つにしました。


絶望からの再生       おすすめ度
人にはそれぞれ、かけがえの無い人がいます。そのかけがえの無い人が亡くなったり、怪我をしたら・・・、希望を失った人達の再生を描いた短編集です。
「泣ける」を売りにされると、醒めてしまうのですが、泣かされてしまいました。石田さんは、自信があったんでしょうね。
考え方次第で、人はいくらでもやり直しができるんです。





うまいなぁと思った       おすすめ度
誰もが、自分の身に起こるとは思っていないけれど、絶対に起こらないとは言い切れない出来事。
そんな出来事にぶつかった時、人はどう感じ、どう行動するのか。

読み始めるとあっという間に、石田ワールドに引き込まれていき、どんどんページが進みます。
ただ、どれも、きれいにまとまりすぎているというか、ストーリーが甘いような気が。。。
よく言えば、希望に満ちた結末ということかもしれませんが、私は「現実ってこんなに甘くないよな〜」と思いました。
そこが星1つ減点です。

でも、読みやすいし、読んで損はない一冊です。
何だかんだいって、私も「ハートストーン」で泣きました。