裸者と裸者〈上〉孤児部隊の世界永久戦争
作者 打海 文三
価格 1,575 円
出版社名 角川書店
出版年月 2004/10
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■読者の評価     おすすめ度平均

とても読みやすいです「オススメ」       おすすめ度
わたしが打海文三さんの作品を読むのは「ハルビン・カフェ」に続いて、2作目になります。

世界観や、雰囲気は「ハルビン・カフェ」に近いものですが、
 (1)少年少女を主人公にしている(感情移入しやすい)
 (2)成長物語を軸にしている(ストーリーが分かりやすい)
以上、2つの理由から、とても読みやすくなっています。

わたしは、4時間くらいで全部読めました。

双子の姉妹がとても好きになったんですが、途中からあまり出てこなくなって残念でした。
と思ったら、(下)は彼女たちが主人公なんですね!
スゴク楽しみです。


リアリズムの極致       おすすめ度
 この作品に荒唐無稽さは感じられません。何故ってこの小説の舞台をアフリカに変えてみれば理解できます。世界のどこかではこういった紛争は果てることなく続けられているからです。その舞台が日本にならないとは誰が言えましょう。読み進めば進むほど、その圧倒的世界観に打ちのめされました。
 構成としても非常におもしろいつくり。<上巻>を孤児部隊を率いることとなる佐々木海人の目線の物語とし、<下巻>ではその海人に助けられた双子の姉妹の目線の話となり、同じ世界を共有しながら、上下巻でまったく違った世界が見れるのも面白いところ。
 上巻の副題「孤児部隊の永久戦争」の永久という言葉の重みがずっしりと来るとても考えさせられる物語です。是非一読をお勧めします。


大河小説!       おすすめ度
 日本全土を内乱の戦火が襲い、暴力のみが秩序となり、群雄割拠する軍閥や悪党達が暴れまくる近未来の物語。
 すさまじい戦乱の世界を描く上下2巻は、長編映画と言うより、むしろ連続大河ドラマのような読後感があります。
 登場人物達は、ぶっ飛んだ人間ばかりで、平時の価値観や正義感は破壊され、ひたすら生死をかけて戦い続けるのです。
 同じ登場人物で構成される上下巻ですが、それぞれで主人公役が異なり、違う目線で物語は進んで行きます。下巻は上巻の続編と考える方が良さそう。
 シンプルに読み解くと「戦争」について考えさせられる物語ですが、筆者はもっと何かを訴えかけているのか?私の読解力を超越しています。
 救いが無く、サイケデリックでさえある小説世界にぶちのめされてしまいました。とにかく一読をお奨めいたします。
 


すごく頭の良い作家       おすすめ度
とても文章が上手。展開的にはやや御都合主義的な印象も受けるのですが、それでもほとんど冷まされることなく一気に読み切らされます。何よりも、湿度硬度もろもろ絶妙なあんばいに配された文章が見事。


『バイオレンスジャック』と『ガンパレードマーチ』を足して二で割ったような世界観。       おすすめ度
 とにかくキャラクターの造型がよく出来ている作品だと思いました。特に、主役の少年兵カイトが、殺人やレイプが日常茶飯事化した状況に立ち向かう姿は、けなげでありたくましく、生き抜くという強い意志、家長の自覚、少年らしい正義感、性への目覚めと、少年から大人へと心身共に成長してゆく様子に感情移入できました。義務教育を受けていない主人公をはじめとした孤児軍の会話は、漢字のないひらがなだけというのも面白いと思います。戦争の醜悪さを具現化したような人間も登場しますが、年上の未亡人の恋人、クールな美少女姉妹、上官である冷徹な女性士官、主役を導く外国人の軍人たちと、カイト少年を取り巻く人間像の豊かさが救いであり、子供が搾取され人殺しを強要されるという問題も含めて猥雑さと残酷さが同居するこの作品により厚みをもたせているとも思います。