いつか、虹の向こうへ
作者 伊岡 瞬
価格 1,575 円
出版社名 角川書店
出版年月 2005/05/24
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    第25回 横溝正史賞   受賞
奇妙な同居生活を送っている元刑事の尾木と3人の居候。家出少女が彼らの家に転がり込んできたことをきっかけに、殺人事件に巻き込まれてしまうが……。

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■読者の評価     おすすめ度平均

全てを失った人達がもう一度大切なものを見つける物語       おすすめ度
ハードボイルドは苦手だ。
やさぐれた主人公、必ず登場する暴力、酒、ドラッグ、暴力団。
この作品は全部登場している。まさにハードボイルド。
読み始めたときは、「うーん、ダメかも」と思った。
なのに、途中で閉じることなく最後まで読ませ、読後感も良かったのは
主人公の傷ついた心の中を、丁寧に語っているからかもしれない。
主人公だけでなく、他の登場人物の心も同様だ。

そして「虹の種」の物語の、やさしく悲しいストーリー。
きっと、いつか主人公がささやかな幸せを手に入れると信じたくなるエンディング。
私のようにあまりハードボイルドを好まない読者の心も引きつけるに違いない。

これがデビュー作と言うから、かなりの高レベル。
今後が期待できそうだ。
褒めたくせに、星が3つなのは、やはり暴力シーンが苦手なので。
苦手じゃない人にとっては星4つ5つのレベルといえるだろう。



人物像が分かりやすく描かれている       おすすめ度
最初から引き込まれて一気に読んだ。元刑事の家に居候するその他の住人にもそれぞれ個性的な過去があっておもしろかった。ただ、久保を殺した犯人に関するヒントが少なく、真相は最後になるまで分からなかったので、もう少しヒントがほしかったが、それでも、ヤクザと尾木との駆け引き、尾木と刑事のやりとり、過去に世話になった弁護士とのイキサツなど、人物像も分かりやすく描かれていて読みやすかった。


ハードボイルドの王道を行く作品       おすすめ度
虹の種の話には感心した。
全体に流れるトーンもいい。
敢えて難点をあげるなら、横溝正史ミステリーとは少し違うような・・・
しかし、間違いない傑作。


語り口には惹かれたけど       おすすめ度
小ぢんまりとした話でした。
誤って人を殺めた過去を持つ男が、ヤクザに脅され、渋々犯人探しをする破目に。
登場人物が少なく、どのキャラクタもそれなりに事件に関っていく。
物語を進行するのに無駄な人物がいなかったと思ったが、事件解決まで一直線に見えてしまうのはそのせいかとも思いました。
自分の状況を素直に表現しない尾木の天邪鬼な台詞にハードボイルドを感じました。
ドラマでは尾木の同居人を刑務所で知り合ったとの設定にしてしまっているが、放送業界の狭い良識に縛られて欲しくなかったです。
閑話休題。
読後感もなかなか良く、物語の中で語られる「虹売り」の話も小説に深みが増したと思います。探偵物に新味さが感じられないので★一つ減じましたが、読んで損はさせない小説だと思います。


見えない悲しみの大きさ       おすすめ度
 前科を持つ元刑事の尾木は、それぞれ事情を抱え込む3人の居候たちと同居生活を送る。酔っぱらって家に帰る途中、チンピラに因縁をつけられ少女に助けられるが、その少女との出会いがきっかけで事件に巻き込まれる。
 過去の悲しみの大きさからくる、主人公の渋さとクールさ、同居人たちの素っ気無いやさしさが、あったかくかっこよかった。意外な展開、結末でした。