殺しの双曲線 (講談社文庫 に 1-4)
作者 西村 京太郎
価格 650 円
出版社名 講談社
出版年月 1979/05
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■読者の評価     おすすめ度平均

西村京太郎氏の最高傑作の1つ!!       おすすめ度
他のレビューにもある通り、本書はトラベルミステリーではありません。最近の十津川警部シリーズを読み慣れた方からすると、「本書は、
良くも悪くも西村京太郎らしくないミステリー」といえるのではないでしょうか? 全体的にトーンが暗く、ミステリアスな写実の奥に、事件
の奥底に眠る闇を感じてしまうからです。

一方で、上記のような内容であるが故に、殺人事件の背後にある人間の罪深さを垣間見ることになります。「双子」を使ったトリックの巧妙さ
もさることながら、一歩間違えば、善良な市民が加害者になり、被害者と呼ばれる人が罪を犯してしまう現実の儚さを実感させられる、人間
の心の奥底に迫るミステリー小説だと思います。


ケレンの勝利       おすすめ度
 西村京太郎がトラベル物を書き始める前の頃の作品。
巻頭で双子を利用したトリックを使っている、と宣言しているのがミソでこれがミスディレクションになっている。トリックそのものは驚天動地といった類のものではないが、巧みという印象。マンネリの代名詞のようなトラベル物のせいであまり評価は高くないが、この作家にはまだまだ埋もれた傑作がありそう。


本格と社会派の融合       おすすめ度
西村京太郎といえばトラベルミステリが有名ですが、彼がトラベルミステリを書くようになったのはデビューから14年も経ってからのことです。デビュー7年目に書かれたこの作品には、その片鱗は微塵もありません。

本作は、アガサ・クリスティの『そして誰もいなくなった』に挑戦した本格推理です。『そして誰もいなくなった』に挑戦した作品とは結構あるようですが、綾辻行人の『十角館の殺人』と共に単なるオマージュを超えた傑作と言っていいでしょう。

基本的には謎解き主体のトリッキーな作品ですが、犯人の動機には社会派推理的な要素が導入されているところが、この時期の西村らしいところです。動機が明らかにされた時、私は「自分もまた殺されるほど恨まれることがあるかも知れない」と気づき、慄然とせずにはいられませんでした。



西村京太郎が描く本格ミステリ       おすすめ度
西村京太郎さんといえばトラベルミステリなんでしょうが、
この作品は本格ミステリ。トラベルものを書く西村さんしか
知らない人は、一読をオススメします。
勿論、本格ミステリファンの人にもオススメ。

双子の泥棒の犯行を描きつつ、
それと並行して雪のホテルで連続殺人が描かれます。
2つの事件がどのように絡まっていくのか・・。

また作品の冒頭で、西村さんからこの作品のメイントリックが
読者に提示されます。最初にトリックを明かすという行為が、
西村さんの自信を表しているとも言えるでしょう。
1971年の作品ですが、古さは全く感じません。