煙か土か食い物 (講談社ノベルス)
作者 舞城 王太郎
価格 1,050 円
出版社名 講談社
出版年月 2001/03
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    第19回 メフィスト賞   受賞
小説界を席巻する「圧倒的文圧」を体感せよ! 腕利きの救命外科医・奈津川四郎に凶報が届く。連続主婦殴打生き埋め事件の被害者におふくろが? ヘイヘイヘイ、復讐は俺に任せろマザファッカー! 故郷に戻った四郎を待つ血と暴力に彩られた凄絶なドラマ。破格の物語世界とスピード感あふれる文体で著者が衝撃デビューを飾った第19回メフィスト賞受賞作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

これが小説だと思う       おすすめ度
寝技のうまい人に、ぐるぐると回転させられて、どつちが天井かわからなくなっているうちにフォールされていた、みいな小説です。かっこよくて、はらはらして、知的で、エロくて、最後は泣かせられました。
たぶん、否定する人もたくさん出てくるのかもしれないですが、私はこういう読書体験をしたくて本を読むのだ、と思いました。


奇麗事抜きに愛を謳っている傑作       おすすめ度
四人兄弟と父親を軸に展開される愛憎劇。この点、ストーリーは中上健次やフォークナー、ドストエフスキーとかの小説によく似てます。
この作品に似た小説があることを挙げて「パクり」を批難するレビューもありましたが、よしんばパクりだとしても、実際に面白いのだから別に良いだろうと思い気にしませんでした。

作品のテーマは「家族愛」ですが、最近の純愛作品にありがちな奇麗事は微塵も描かれません。
主人公奈津川四郎は、母親を襲った犯人への復讐のために平気で自分の幼馴染も利用して、愛する家族以外の誰を犠牲にすることもまるで厭わない。
愛のために恐ろしく冷酷になれるその姿には感動すら覚えました。
愛情とは本来これほど残酷で身勝手でエゴイスティックな感情なのだと思います。
奇麗事を期待する人は、手段を選ばない四郎のエゴイストぶりが不快になってしまうかもしれません。
逆に「愛」がキーワードになると奇麗事だらけになる、ウソ臭い恋愛小説や家族小説の類にウンザリしていた私には、久しぶりに気持ちよく清清しく楽しめる傑作でした。

でもまあ、別に主人公の生き方に共感出来ない人も本当は十分にこの小説は楽しめるはず。
他のレビューにもありましたが、迫力満点の文体だけとってみてもすごく読み応えがある作品です。
この点「圧倒的文圧!」っていう売り文句は嘘ではありません。
それと、もう1つ付け足すなら『煙か土か食い物』というタイトルも実に見事だと思います。
始まりから終わりまで一気に読み終えて、文句なしの天才だと思いました。

てかデビュー作でいきなりこんなに面白い小説が書ける作家なのだから、芥川賞あげればよかったのにね・・。


時間を忘れた       おすすめ度
単行本のミステリーばかり読んでいて、たまには違う売り場にでも言ってみようといろいろな棚を物色していたら、奇妙な装丁と作者の名前になんだか惹かれて買って来た。
読み始めると、今まで読んだこと無いスピード感と、戸梶圭太に似たグロテスクさ。
とにかく、先が読みたくてしょうがなくて、仕事のことも考えず。夜12時から、朝5時頃まで掛かって読んでしまいました。
好みは分かれるところだけど、多分おしゃれなんです。
このグロテスクさが。
それが分かる人は、どつぼだと思います。

すっごく引き込まれました。
そして、そんな本と出合えたあの気味悪げな装丁に感謝。
それ以来、舞城作品は網羅しています。


友人にプレゼント       おすすめ度
私は★3つですが、
友人にプレゼントしたら、かなり喜ばれてました。
スピード感と独特な言葉の言い回し?(文章)の使い方が売りのようですね。
バー!と読めるので心地はいいですが、
じっくり読むと少々後味が悪かったり…('д`;)

ですが結末はホッしたので良かったです。



ミステリーではなく家族小説       おすすめ度
今時珍しい行換えのないびっしりつまった頁が延々と続きますが、有無を言わさぬ迫力で、拘束されてしまい、結局一気に読まされます。ミステリーだと考えず、暴力と罵詈に満ちた家族の小説だと思いましょう。アメリカのドラマ「ER」ばりの劈頭から一気に舞台は福井県に飛び、そこからは本当にノンストップでエピローグへ。ミステリーとしてはいくつもの欠陥がありますが、このスピード感だけでも味わう価値はあります。