とげ抜き 新巣鴨地蔵縁起
作者 伊藤 比呂美
価格 1,785 円
出版社名 講談社
出版年月 2007/06/12
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    第15回 萩原朔太郎賞  受賞
母の苦、父の苦、夫の苦、子どもの苦、でもなによりも「私の苦」…。女であることのしんどさを、愛と毒にみちた、生きた言葉で解放する説教節。「群像」連載時より大反響、話題の“長篇詩”遂に刊行。

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■読者の評価     おすすめ度平均

声に出して       おすすめ度
声に出して読みたくなりました。
大きな声を出して読めない単語がいっぱい出てくるので、ぶつぶつ口の中でつぶやくようにして読みました。

ここにあるのは、人間の声。
詩人の魂を通って純化され、本歌とりによって、昔々の人々の声が重層化され、凄みを増した声。
その声を、ゆっくり自分の口を通して発することで、自分自身のことばとなるような錯覚が起きました。

自分より少し年上の伊藤比呂美さんは人生の先輩のような感覚で、子供が生まれ、あかんぼと戦う時期には「良いおっぱい悪いおっぱい」に救いを求め、子供が思春期にさしかかると「伊藤ふきげん製作所」をむさぼり読みました。

これからのテーマは老い、なのでしょう。
この本のおかげで少しずつ覚悟ができてきました。


星がいくつなんてどうでもよい!!!       おすすめ度
苦というとげを抜こうともがいて、もがいて、苦に塗れていく苦の人生を、「それが抜けますように、抜けますように」とさらにもがいてもがいてもがき苦しむ。その死ぬまで続く下世話で卑猥で尊き性と生を、この散文詩は生きている。描いているのではない。

言葉の動き、言葉の跳躍、言葉の横柄、言葉の苦吟、言葉の飛躍、言葉の沈潜、言葉の饗宴・・・。評者がこの20年来で読んだものにおいて、これほど深く撃たれ、心騒がせ、血を滴らしたものは、ほかにないかもしれない。

伊藤比呂美は何年も前から知っていたが、今回これに遭遇して、多分評者の人間性は何かが変わってのではないかと密かに期待してるところだ。

言葉の醜さ、いじらしさ、歓び、軽はずみ、美しさ、酷薄さもみんなみんな、まるごとこのなかにはあって、言葉の卑小、と偉大によって叩きのめされた。


老いた親たちに唖然としているあなたへ       おすすめ度
 この本は詩歌に分類されておりますが、小説でもエッセイでもドキュメントでもいい感じです。伊藤比呂美も50代半ばになんなんとして、俗世的困窮に陥って、
 孤軍奮闘しております。太平洋を挟んだ老親の介護、思春期の娘の摂食障害、夫の病気など、いろいろ。しかし、大詩人は、転んでもただでは起きない!!
 自身の更年期障害を吹き飛ばすような勢いで、言葉を紡いでゆく。
そのたのしいこと、きれいなこと。


すごいです。       おすすめ度
今年のナンバー1決定です。
すごいです。
今まで、両親の介護と看取りのことを考えると怖くて、怖くて、仕方がなかったのですが、この本を読み終えるとともにすこし怖さが消えました。いえ、消えたのではないんですが、何か別のものに変わりました、恐怖が。ずっとずっと後で、それが何に変わったのだったか思い返す日が来ることでしょう。そのときには私も自分自身の死について考えるようになっているのでしょう。
浄化を伴う言葉の力がここに「生きて」います。それが「生きて」いるというのは本当に、心底、すごいことです。この詩人の作品を読んできてよかったと心から思いました。


すばらしかった       おすすめ度
なんというか、こういう文学もあるのかという思い。今まで読んだことのないものです。