最後の命
作者 中村 文則
価格 1,575 円
出版社名 講談社
出版年月 2007/06/12
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■読者の評価     おすすめ度平均

冷静な分析。       おすすめ度
文章に緊迫感はあるが、主人公2人の延々と続く自己分析には、共感することはあまりなかった。
幼い子供時代、混沌とした思春期、成人してからの精神の混濁、各時代時代の回顧がとても理路整然としていて、冷静な大人が書いた物語としか感じられなかった点が残念である。


優れたセックス文学       おすすめ度
世界の中心から遠く離れてますます暗鬱でマニアックな雰囲気を強めていく中村文学。しかしミステリー・タッチのこの新作は、けっこうすいすい読めました。「犯罪」的なミステリーから「文学」的なミステリー(人間の謎…いや語彙が貧困ですな)まで、けっきょくのところその謎は「解明」はされませんが、最後までわくわく感はたっぷりです。
今回のメイン・テーマは、「性」。その暴力性やそれへの罪悪感をめぐるストーリーです。自己が性器と一体化したときの高揚感やその後の虚脱感といったポピュラーな感覚から、セックスという行為にかかわる人それぞれの精神的な悩みや病理の症状まで、個々の描写にリアリティがあふれており(ただ、中村作品の主人公のモテぶりはいつも少し違和感がありますが)、また宿命的な事件を到来させるプロセスの作り方も巧みであると思いました。
そして毎度おなじみの「悪」です。突如あらわれて人々にああさせたりこうさせたりと力をふるい、こんなことをしたら世界はそして自分はどうなるだろう?と未知への好奇心を抱かせてしまう魅力的な「悪」。主人公たちのしんどそうな行動や長々と語られる思索によって、新鮮な文章たちが「悪」へと接近していきます。これはまだまだ深まりそうなテーマで、今後がまた楽しみなところ。ま、作家にっとってはつらい仕事になりそうなところですが、欲望あふれる期待をしてしまいます。