犬婿入り (講談社文庫)
作者 多和田 葉子
価格 410 円
出版社名 講談社
出版年月 1998/10
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    第108回 芥川賞   受賞
多摩川べりのありふれた町の学習塾は“キタナラ塾”の愛称で子供たちに人気だ。北村みつこ先生が「犬婿入り」の話をしていたら本当に〈犬男〉の太郎さんが押しかけてきて奇妙な2人の生活が始まった。都市の中に隠された民話的世界を新しい視点でとらえた芥川賞受賞の表題作。

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■読者の評価     おすすめ度平均

マスオさんは幸せです       おすすめ度
『犬婿入り』です。芥川賞受賞の表題作と『ペルソナ』を収録する作品集です。
作者の文章は、基本的に「、」で次々と繋いでいて、「。」で終わるまでが長いです。読んでいると、息継ぎのタイミングが掴みにくく、ちょっと疲れちゃうかも。
長い文章なので、どっちかというと緩い雰囲気が漂うような気もするのですが、内容はといいますと……
犬婿入りはファンタジーですよね。キタナラ塾の汚い描写が徹底していてそこに凄味があったように思うのですが、民話というものは現実から即して生まれたものであり、であるからには民話のようなシチュエーションが現代都市生活の中でも起こるのかも、ということを考えると、最後の消えてしまう結末に至るまで、難解ながらも「太郎の正体は?」などといった謎を孕みながら興味深く読めるのではないでしょうか。
ペルソナは、ドイツに留学している女性が周りの人との付き合いの中で、言葉の違いやら何やらもあって自由な自己表現を模索するという話。ニセモノのお面を被った時に初めて、本当の自分を出せるという結末にいたるまでの紆余曲折の物語です。


すばらしい       おすすめ度
 ペルソナも最後のほうでびっくりして思わずうなってしまった。言語感覚のずれは人間としてのずれを生みだす。本当に大切なことは母国語でしかいえないのか、能面をかぶってしまうことで初めて外に露出できる感情(言語)を獲得したのだが、人間は実はドイツ人でも感情をおさえている(ディスコミュニケーション)ものだから、本当に感情をだしてもコミュニケーションできない。そんな悲哀。いかにも「小説家」らしい作品で好感が持てる。海外文学みたいだし。
 しかしそれにも増して驚いたのは、表題作の犬婿入り。お姫様のお尻をぺろぺろ舐める犬の昔話をモチーフにした幻想小説。神様視点を使っての視点の移動と流れるままの文章が見事にマッチ、シュールさとあいまって巧みな幻想世界を完璧に構築していて、読んでいてとにかくおもしろい、傑作だ。この時代はまだファンタジーでも芥川賞取れてたんだ、とそのことも発見。


「ペルソナ」に関して       おすすめ度
「犬婿入り」は芥川賞を取って当たり前の完成度だが、私には理解できない作品だった。
イヤだったのは、「ペルソナ」。ヨーロッパ圏の言語を話し、その国の人々を生活を共にする。
たまに、街のショーウィンドーに映った顔は、能面のようで、自分の物だと気付いた時に立ちすくむ、喪失感。
そんな体験を、皮膚の感覚で伝えるのが「ペルソナ」だ。


心あたたまる       おすすめ度
読んでいて思わず笑みがこぼれてしまうような作品でした。
どちらの作品も、
登場人物の心中の表現がとても好きです。


芥川賞て本当なの?       おすすめ度
多和田さんに興味を持ったので初めて買って読みました。日本語とドイツ語の間、というようなことが書評に書いてありましたが、ぼくとしては何かそれ以前の問題であるように感じました。期待すると確実に裏切られるというか、いったい誰がこういう小説で満足するのだろうと思いました。犬の男が中年女のところにやってきて、やたら力が強く、性交したりして、やがて二人はどこかへ消えていく…。全く意味が分からないというか、狙ってやっているんだろうが、内容がなさ過ぎる。日本語とドイツ語の間というのは、単なる抽象概念で、それは作者にとっては意味があるのだろうが、それを他者に伝えるには至っていないというか、根本的に間違っているのではと思います。これを読むくらいなら童話を読みます。