終戦のローレライ〈4〉 (講談社文庫)
作者 福井 晴敏
価格 730 円
出版社名 講談社
出版年月 2005/02
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■読者の評価     おすすめ度平均

福井晴敏最高傑作。       おすすめ度
福井作品は、ガンダムと戦国自衛隊を除き、C-blossomに至るまで全て読みました。
この作品については、最初、読むつもりはありませんでした。
正直言って、第二次世界大戦を扱ったものというだけで敬遠し、
水を媒介として周囲のものが見通せるという設定にしてもリアリズムの欠ける設定だな、としか思っていませんでした。
が、前に読んでいた本を読み終え、地下鉄の中で時間を潰すものがなくなったので、しょうがなく、と言った風に手に取ったのが、今作でした。

今作では、福井晴敏視点での『第二次世界大戦』そして『戦後』が書かれています。
そして、守るべきものや人間の業などといった、今までの福井作品にも見られたものがより濃く、鮮明に、美しいと言えるまでに描かれています。
この小説は、単なる戦争賛美の物でも、逆に反戦という言葉で括られるような物でもありません。
人間讃歌、といっては大仰かもしれませんが、似たような物をこの作品には感じました。

ただ残念なのは、少々冗長なことと、この作品を原作としながら残念な出来になった映画版のことでしょうか。


椰子の実       おすすめ度
 この長編の最後を飾る「終章」が素晴らしい。

 そこまでは 潜水艦を舞台とした息詰まる短い日々をじっくり書き込んできた。それに対し「終章」は 戦後60年間を その時々の流行歌に乗せて 実にさらりと描いている。それまではスーパーマン的な活躍をしてきた主人公達が市井に埋もれ 人並みの苦労を経て 戦後を細々と生きていった姿は 正直感動的である。

 機内で酒を飲みながら読んだせいか 途中から涙が止まらなくて困った。「椰子の実」という曲が かように心に迫るものがあることがよく分かった。


すぐれた終章       おすすめ度
自分探しの物語…
終章の抑えた筆致が印象的である.
人が生きるということの難しさ,大変さを静かに,しかし,たしかに問いかけてくる,そういう作品と言えようか.


読んで損した気分       おすすめ度
人殺しすぎとか、テーマがどうこうとか長いとか、そんな問題じゃなく、まず読ませようって感じがない。
自分の世界に入り込んだ人が好き勝手に書いたような通俗小説というのが正直な感想。
同人じゃないんだから人が読むという前提で書いてほしい、よほど作者と気が合う人でもない限り何も伝わってこない。


平和ボケした国に喝を入れる超大作。       おすすめ度
よくこういった小説、映画で人を殺しすぎるという感想を言う人が、自分の周りにもよくいるが、考えてみて欲しい。
もし、今この国が他国に攻められ、大切な人が目の前で殺されるとしたら?
そして自分が死に直面したら?
殺生という言葉を非常に嫌う感があるが、それは平和という器に守られているからこそ言えることではないだろうか?
ともすればそういった危うい要素を含んだ物語を、ここまでエンターテイメントとして昇華させる作者の力量には脱帽するしかない。

「亡国のイージス」もそうだが、この作家の作品で善い所は、物語の主役の顛末をしっかりと描いている部分だろう。
中にはそういった蛇足的なエピローグは必要ないという方もいるが、この部分があるからこそ、重いテーマを持った作品に感動できるのだと思う。
主人公が多くの人々の死を乗り越え、掴んだ答えを最後に提示することで、作品に深い余韻と希望を残すと共に、作者が突きつける国の在り方について考えさせられるのだと思う。
お見事としか言えない荒技である。