熊の場所 (講談社文庫)
作者 舞城 王太郎
価格 420 円
出版社名 講談社
出版年月 2006/02/16
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■読者の評価     おすすめ度平均

救いようのない人間の物語に共感を覚える       おすすめ度
最近,ぼくが一番嵌っている作家が,この舞城王太郎.デビュー作にしてメフィスト賞受賞作の『煙か土か食い物』を読んで,一発で嵌った.

舞城は元々はミステリー作家であるが,元々ミステリーのトリックは面白くなかった.突拍子もないトリックも論理も碩学もない.しかし,落とし方が巧いのである.まさにミステリーのもうひとつの醍醐味を味わえる作家である.

そして,なりより,流れるようなスピード感溢れる文体が素晴らしい.改行もほとんどせず一見読みにくいように思えるが,読み始めると一気に頭の中を舞城の文章が流れていく.この筆力はすさまじい.天性のものか.

本作品集『熊の場所』は舞城がミステリーから純文学へと枠を広げるきっかけとなった作品.特に2作目『バット男』が素晴らしい.こんなに琴線を掻き鳴らされたのは,ホーガンの『星を継ぐ者』以来のことかもしれない.

『バット男』は,社会的弱者に肉体的な危害を加えることでしか精神を保てない弱い人間と,どうしようなもいほどの馬鹿なカップルの救いようのない物語だが,舞城の表現している愛情と他者への攻撃性には,ぼくは共感を覚えてしまうのだ.この物語の登場人物は馬鹿だけれど,みんな馬鹿にならないように『バット』男に目を背けているだけに過ぎないのではないのだろうか.

他の2編,表題作の『熊の場所』は思春期の少年の持つ暗い感情と秘密という危うさを見事に表現していたし,『ピコーン!』のフェラチオ100万回で不良少年を矯正という馬鹿馬鹿しいなネタも結構好きだったり.

どの作品も適当な長さですぐに読める.まず,この一冊から舞城を読んでみて欲しい.


文学の破壊者       おすすめ度
初の舞城作品。

『熊の場所』『バット男』『ピコーン!』と言う3つの短編集が収録されています。

薄いし舞城入門には最適の一冊かも。

最近、阿部和重にしろ、そのルーツにあると思われる高橋源一郎にしろ、町田康にしろ、「ぶっ飛んでる小説」を好んで読んでいる。

いわゆる売れ筋の大衆小説、キレイな?小説はもう飽きたし、読む気が起こらない。

やはり文学と言うのは常に新しいものを求めてなければいけないものだし、ぶっ壊すものだ。

そんなこんなで手に取った舞城作品。

どの短編もぶっ飛んでいるんだけど、きちんと主張があり、『文学』を感じさせる。

特に最後の『ピコーン!』は非常にエログロだが、恋愛小説としてまとまっていると僕は思う。

破壊者と言うのは常に読者を選ぶものなのだ。


結局は、青春文学なんだと思います       おすすめ度
『熊の場所』です。短編集です。表題作の他に『バット男』『ピコーン!』の三作品が収録されています。本は薄いので、文体も口語調で読みやすいので、すぐ読めます。
三作品とも、作者の出身地である福井県を舞台としており、微妙に共通する地名や人物が見え隠れします。

表題作は、野球少年ではなくサッカー少年の田中まー君と主人公との微妙な友情を描いたもの。
三作品すべてにいえると思いますが、なんとなく純文学で、なんとなくミステリーです。
小難しい純文学は手を出しにくいし、かといって単なるエンターテインメントではないものを読みたい、という方におすすめですかね。
本格的な純文学、本格的なミステリーを読みたいのなら、避けた方がいいかも。


ピコーンがいい!!       おすすめ度
評価悪いみたいだけど、この本に収められている短篇三作ともよくできていると思う。文章のレベルは、小学生を視点にして書いたりしてるから落ちた様に感じるだけでは??とか思うんだけど…三作品中特におもしろかったのは「ピコーン!」で、ぶっとびながらもうまく恋愛小説としての味をだしてて巧かった。舞城作品の中では割と初心者向けで読みやすいし、まずは入門書として手にとってみてはいかが??みたいな。


駄作…だよね?       おすすめ度
舞城王太郎には純文学や短編は向いてないのかも。
と思うけど『川を泳いで渡る蛇』みたいなちゃんとした佳作短編を書いてもいるし、
何よりも作風は好きなので、純文に挑戦する舞城王太郎をいつまでも諦められずにいたりする。
単純に力量不足なのかな? どうも熊の場所にしろバット男にしろ構成が短編というより、
長編や中編を切って編集したような印象を受けるし、所々あまりにも素人臭い文章が挟まってるし。

でもまぁ、いくら文句を言ったところで、この人の本が出ると思わず買ってしまうわけだけれど。