権現の踊り子 (講談社文庫)
作者 町田 康
価格 580 円
出版社名 講談社
出版年月 2006/04/14
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■読者の評価     おすすめ度平均

「ふくみ笑い」と「工夫の減さん」       おすすめ度
 「ふくみ笑い」。検閲のことを考えた。検閲なんて、いまの時代の文学に関係ない、そりゃ、そうなんだけど、これに近いことは日常生活で頻繁に起こっていると私は思う。以下に書くことは、あくまでたとえ話である。たとえば、そう、社員同士で、社長か役員かの噂話をする、もちろん悪いほうだが、そこにその噂の当人が通りかかる、なに、しゃべってんだい、と当人が言う、そこでその噂話をしてる人たちは、阿吽の呼吸ともいうべき、「ふくみ笑い」を交し合い、噂されてる当人じゃなく、別の人のことを言ってるんだ、と噂の当人に思い込ませようとする、話をすげかえちまう、すっとぼける、ごまかしやがる、噂された当人は、何か飲み込めないものを感じ、その日一日を鬱々と暮すことになる、まったくもって、「ふくみ笑い」ほどの不気味、不可解な笑いはない。まったくもって、町田さんには、やられた。
 「工夫の減さん」。私にも、ちょこっと、思い当たる節がある。明日楽するために、今日苦労するのだ、と気合を入れて仕事をする。はじめのうちは、うきうき楽しいのであるが、しだいに、どんな因果で、わしは、明日の仕事を今日せんければならんのだ、明日のことを思い煩うな、とあの人が言っていたのではなかったか、まったく、あほらしい、明日のこた、明日やりゃいいのだ、やめっちまおうかな、と思うのだが、やはり、何の因果か、これが、やめられぬのである、しまったことになってしまった、と思うのだが、どうしようもねえんである。まったくもって、わしの工夫は、諸悪の本である、まったくもって、町田さんにはやられた。


快か不快かといえば不快       おすすめ度
「ふくみ笑」いは「けものがれ、俺らの猿と」のような陰鬱として粘着質で多湿、展開も不条理極まりない、町田作品の中ではあまり好きではない方の文章。「石井君のストーン」「工夫の減さん」は良かった。特に「減さん」はその不器用な生き様にホロッときた。


不思議ワールド全開       おすすめ度
町田康。たぶん好き嫌いが分れる作家だと思う。
何も知らずに読むと足を掬われます。つかみ所のない話が多くて、
訳が分からないけどまた読みたくなったりして不思議な魅力があります。
独特な言い回し(「りゃりゃりゃりゃ..」とか)にもやられました。
表題作は、音と作品が混ざったような、うまく表現できませんが、
何ともせつない気分になりました。
間違いなく町田康にしか書けない作品です。




読んだ後なんともやるせない気持ちになります。       おすすめ度
題材の選び方と表現の面白さに爆笑しながらも、一抹の悲しさがいい意味で後味悪く残ります。
町田康さんの作品には、アウトロー(の道を進もうと四苦八苦する人)の視点から世俗の社会を語るという
基本テーマがあると思うのですが、『権現の踊り子』では特に大衆の悲しさが強調して描かれています。
かといって嫌味があるわけでもありません。町田作品の中では比較的ストーリーがしっかりしていて読みやすく、
なおかつ独特の小気味いい文体も健在です。
収録作品の『矢細君のストーン』もお気に入りです。「ヒコーキノッタラ…」のくだりが頭にこびりついて離れません。


お腹いっぱい。       おすすめ度
この内容で580円? 安すぎる! いやぁ面白い!
何か町田康の頭の中に入って脳味噌の皺を数えてる感じ。
なんか「逆水戸」が人気あるみたいですけど個人的には
「ふくみ笑い」が好きです。あっ!でも「矢細君のストーン」
と「工夫の減さん」も好き。って言うか全部好き!
でもやっぱ「ふくみ笑い」が一番かなぁ。
個人的に・・・あくまで個人的な意見ですが「ふくみ笑い」が
この時点での町田康の集大成の様に思えてしまいました。
あの序盤のいつも以上に異常な被害妄想、神経過敏っぷり
から不思議なキャラ達。主人公の行動力及びにドライブ感。
そして終盤のトリップ感。あー面白っ。