ダーク (下) (講談社文庫)
作者 桐野 夏生
価格 600 円
出版社名 講談社
出版年月 2006/04/14
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■読者の評価     おすすめ度平均

おっかなびっくりな完結章       おすすめ度
上巻とは一転、登場人物の壊れっぷりに拍車がかかり興奮して最後まで一気読み。1・2作とハードボイルド調だったにも関わらず様変わりして主人公ミロのキャラクターまでも一変しています。全体的に垢抜けた印象を受けましたが個人的には本作の方が好みです。最後まで筋が読めない緊張感にハラハラドキドキさせられる刺激的なアンダーグランドの世界でした。


ミロとの決別の書       おすすめ度
主人公村野ミロは、作者桐野夏生に江戸川乱歩賞をもたらし売れる作家に育てた、いわば育ての親のような存在でした。ミロシリーズにぶら下がって書き続ければ、女流ハードボイルド作家として部数の計算できる堅い作家でい続けられたでしょう。反面それ以上の何者でもなくなることを桐野はロミシリーズの次回作を期待される度に危惧していたのではないでしょうか。

作中、『所詮、安全な池の中に住んでいたようなものだった。どこかで相通ずるものを共有し、許しあっているものたちとの気楽な暮らしだった』というロミの言葉は、シリーズが桐野とミロファンとの閉ざされた世界でしかないことを暗示しています。そんな世界観を桐野は、親を疎ましく思う若者のように感じていたのではないでしょうか。本作は、自立し更なる成長を図るためミロシリーズ(育ての親)を捨てる親離れの儀式のような作品だと感じました。

そのため桐野はミロシーズの世界観を完膚なきまでに破壊し、ミロに関わる者たちにもれなく災厄をもたらし、読者を不快にする作品に仕立てました。これは村野ミロに甘い黙約を期待する読者に対する確信的な裏切りであり、失望されたファンも少なくなかったでしょう。しかし桐野がミロ以外の何かを書くための必然だったのではないでしょうか。本作は自分を育み、それなりの愛着を持ったキャラとの決別を宣言しています。


ダークなミロ       おすすめ度
ここで描かれているミロはシリーズのミロとは別人でしょう。ここまでするのか、というミロの心情にはついていけないものがありました。
題名の通りダークで暗いですが、わりと飽きずに読めました。それにしてもトモさんの変貌も凄かったな。
シリーズを読んでから読むことをお勧めします。特に「顔に降りかかる雨」は。


うーん       おすすめ度
私は前作を読んでもミロに対してあまり感情移入するようなことはなかった。今回も共感などからは程遠い作品。ただミロの壊れっぷりはすごい。まあ、展開上こうせざるを得ないんだろうと最近納得しました。(メタボラを読んでから妙に納得した)しかし今回惚れる徐といい、最初の旦那から、ずっとこの人はあまり男の趣味が良くないと思う。


未来へ続くのか。       おすすめ度
国外への逃亡、殺意を抱くまでの怒りの感情、激しいまでのぶつかり合いの末の結末にしては、少々物足りなさを感じた。
上下巻に分かれてはいるが、文字が大きく、1話を通してみるとそれ程の長編とも言えない物語の中で、展開が同じところをぐるぐるまわり、最後の着地点がずれてしまったような、あっけない終わり方だと思った。