文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)
作者 京極 夏彦
価格 1,260 円
出版社名 講談社
出版年月 2006/09/16
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■読者の評価     おすすめ度平均

シリーズ最低の作品       おすすめ度
ミステリでもないし、探偵小説でもないし、あんまりカタルシスも感じられません。がっかりしました。

個人的に、今までの京極シリーズは、作者が中禅寺を通して語る思想と、とうとつに出てくる科学の話や妖怪の話が、謎に満ちた事件を解く鍵となり、ドラマティックに展開するからおもしろかったんです。でもミステリの部分を放棄しちゃったんですねー。江戸川乱歩なら30ページで終わらせる怪奇小説を、1200ページ(実際には2000ページ分くらいある)つかってやっちゃったって感じです。がっかりです。

哲学とか思想だけなら、他の本のほうが充実してるわけです。別に文学者や哲学者としてすごいわけでもないのに、勘違いしちゃったなという感じがします。ドストエフスキーにでもなったつもりでしょうか。200ページくらいなら読めたでしょうけど、1200ページもかける必要がありません。

今までの作品をわくわくしながら読んでいただけに、今回は「なぜ?」と思わずにいられません。まだ読んでない方は、この作品は読み飛ばして次に進んでかまわないと思います。とくに忙しい方は。


関口君大活躍。       おすすめ度
前作の超長編を体験していたので覚悟していたのですが、今回は京極堂の歴史解説うんちくが少ないせいか、大変読みやすくなっていると思います。

今までの百鬼夜行シリーズは飛ばし読みは厳禁でしたが、今回は多少飛ばしても、理解できます。(私はもともと本を読むほうではないにも関わらず、本シリーズにハマってしまったので、気が抜ける感じで、なんとなくほっとしました。京極氏はこんなこと意図していないと思いますが…。)

推理小説ではなくても推理をしてしまうミステリー小説。今回は生死観、儒教を主に取り扱っています。ほとんどの読者は最初の段階で犯人の察しがつくと思いますが、京極堂の憑き物落しでは、やるせなさを感じます。しかし、思ったよりも切ない気持ちが残らなかったのは、ラストシーンでのやり取りがあるからだと思います。

前作で完全に「壊れた」関口君ですが、今回はちょっと逞しくなった気がします。今後の彼の活躍に期待。


2巡目の「姑獲鳥の夏」       おすすめ度
 ノベルズ版で読みました、4回ほど。

他の方と少し見方の違う話をします、初回物語の内容が少々物足りませんでした、しかし2回3回と儒教の解説に惹かれ読んでおりますと。「これは「姑獲鳥の夏」の創り直しではないのか?」と思えてきました。

 前作「塗仏の宴」でおそらく今後宿敵となって現れると思われる「堂島静軒」が登場しているのですが、その堂島大佐が登場せず、またお話のスケールがとても小さく創られているように思いました、「姑獲鳥」以降徐々に物語の持つ空間が広がってきたことを考えれば不思議でした。

 そこで思ったのは「塗仏」で物語の第1幕が終わりこの「陰摩羅鬼」で物語の第2幕が始まったのではと思いました、それほどこの物語の骨格は「姑獲鳥の夏」に似ています。

 果たせるかな次の「邪魅の雫」は「絡新婦の理」の人が人を操る姿の組直しに読めました。

「邪魅の雫」の次「鵺の碑」はどうゆう物語になるのか期待しております、第1幕の外側に第2幕の物語を数編組み上げ、そこで再び法の外に居る絶対悪意「堂島大佐」と対決する。
そのような構成になっていると思えてなりません。

 京極先生は水木しげる先生から「妖怪」のみならず「先の戦争」への怨嗟をも引き継いでおられる様に思います、水木しげるという人物が戦争で受けた心と体の傷を京極先生は我が物として物語は広がってゆくのではと思います。
 
 思い過ごしでしょうか?

 京極堂シリーズは是非とも出版順に読まれることをお薦めします。


京極夏彦初体験の方はご遠慮ください。       おすすめ度
第一作から京極堂シリーズを順番に読んでいる京極夏彦ファンにはうんちく、トリックおよびロジッ
クともに納得の一冊。本作のうんちくの主テーマは鳥と儒学。懐かしい姑獲鳥についても議論される。
私は「姑獲鳥の夏」読了後、不覚にも本を壁に投げつけてしまった(笑)。(今では京極堂シリーズ
における一二を争う秀逸なトリックであると考えているが)
で、本作は「姑獲鳥の夏」に劣らないまさに驚愕の京極夏彦ならではのトリックおよびロジックを堪
能できる(京極夏彦だからできるor京極夏彦しか使えない)
だが、評価は実質3.5としたい。理由は
語り手が4人いて次々変わってゆくのだが、物語上の時間は進まず同じ時間が何度も繰り返される。
また、長いうんちくのため読んでも読んでも物語が進まない。(少しくどい)
京極堂の憑物落としも控えめで迫力に欠ける。
京極夏彦の長大な小説を読むには覚悟がいるのだが、覚悟して読んでも読了後は疲れた。


シリーズ中最も       おすすめ度
シリーズ中最も早くにトリック(?)がわかってしまいました。そこに行き着くまでのプロセスが楽しめるので問題ないのですが。
殆ど事件とは関係ないかの大作家と関口の邂逅シーンがよかった。
★3つにしましたがこれは京極堂シリーズでの相対評価です。