6ステイン (講談社文庫)
作者 福井 晴敏
価格 820 円
出版社名 講談社
出版年月 2007/04/13
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■読者の評価     おすすめ度平均

福井デビュー       おすすめ度
福井デビューである。
乱歩賞受賞作はほぼ読んでいるが、なぜか、この作家だけは
読まずに来た。
実際のところ、受賞作を本屋で手にとってレジに向かいかけたこともあるが、
ここまで読まずに来た。


さて、読んでみてどうか。
文章は堅すぎず、軟らかすぎずで、読みやすい。
また、描写もうまい。
話のもっていき方もうまいと思う。
文章、話の構成とも全体的に志水辰夫に近い。
要するに、私好みである。
でも、何か足りない。


読みすすめるうちに、わかった。
「足りない」のではなく、「多すぎる」のだ。
自作の世界にリアリティを持たすための説明
(ほとんどが主人公の独白あるいは心情として語られるのだが)
をする文章が多すぎるのだ。
ある意味、読者に親切な作家といえるのだろうが、
逆に筆力のなさともいえる。
例えば、本作品のような話を書いていた作家として、
志水辰夫、北方謙三、船戸与一などが挙げられるが、
彼らが福井の作品と同様のものを書いたとしたら、
ほぼ半分のページ数で書き上げるだろう。
そして、彼らの書いたものの方がより大きなインパクトを読者に残すだろう。
福井に「足りない」もの、それは、経験といえるのではないかな。
福井が、自分の書いたものを半分の量にする筆力を身につけたとき、
彼の作品は長く読み継がれることになるだろう。
福井は、自分の作品が映像化されること念頭に
小説を書いているということを何かで読んだ記憶があるが、
それがあの説明文の長さに通じているのだろう。
ファンの方には、「それが福井節」となるのであろうが。


いずれにせよ、福井が、これからの日本の冒険小説界を背負って立つ
一番近い位置にいることは自他共に認めるところである。
更なる精進を期待したい。


珠玉の作品です       おすすめ度
どのタイトルもページをめくるのが惜しい珠玉の短編集です。長編が多い「文豪」の短編はどんなものなのかと思ってましたが驚きです。こんなのが連載されていた雑誌もスゴイ。長編では作者本人もノリノリであろう場面には福井節で貫かれているのに比べ、短編集では文章そのものがより技巧を極めて完成度が高いように思われました。あまりにリアルなので、髪金でも引き締まった体のコギャルや、いくら飲んでも酔わないオネーサンに遭遇すると、ひょっとしてAP?もしやSOF上がりか!と思ってしまうようになりました。


一気読み       おすすめ度
日本を舞台に数々の諜報戦が繰り広げられるハードボイルドアクションノベル。六つの短編から成るがいずれも読み応えは十分。決して軽く読み飛ばせる類のものではないが、一気読みしてしまった。

台詞回しと話の転がし方が上手いせいか、作り物臭さは感じさせず、その非情な世界観にぐっと惹き込まれた。又、ちょっとした部分の文章表現の巧みさにも唸らせられた。

個人的にはオススメしたい。


良さを全面に押し出してはいるが       おすすめ度
「イージス」「ローレライ」などと「大作作家」のイメージがある福井晴敏。短編はうまくいくのかどうかと不安ではあった。しかし、福井色を押し出し、緊密なプロットと文章で諜報戦を描く著者の技はすごい。物語の作りが丁寧である。

が、人間ドラマの点では、「ああ、やっぱりこうするのか」とか「お決まりの展開」といわざるを得ない(はっきり言ってしまえば明らかに「作り物」っぽいようなもの)ものがあった。前述の「作りが丁寧」な分だけ作り物っぽく見えてしまう。もっとハリウッド映画のような粗雑で荒削り(言い過ぎではありますが)でも、壮大なアクションものをドーンと書いて欲しいものです(時事問題や国際情勢を絡ませるものとか、人間ドラマ色を薄めにしたものとか)。


爽やかな読後感!       おすすめ度
福井氏の作品の中では一番いいんじゃないでしょうか?ひとつのテーマで6話の短編が描かれているが決して破綻していなく実に読ませる。マニアックな描写もありながら非常に読みやすく男性はもちろん女性の読者にもオススメしたいです。