サウンドトラック〈上〉 (集英社文庫)
作者 古川 日出男
価格 600 円
出版社名 集英社
出版年月 2006/09
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■読者の評価     おすすめ度平均

読めない       おすすめ度
これほど読むのが苦痛な本は初めてだった。
理由は以下:

1:奇妙奇天烈&複雑怪奇な文体
無意味な難語が多すぎる。文章が不自然で読めたものではない。

2:人物描写が稚拙
キャラクターが良く練られておらず、登場人物に人格を感じない。
言動も幼稚・短絡的で、作品の世界に入りたくなるような魅力が皆無。

3:構成が悪い
(コインロッカーベイビーズに似すぎではあるが)筋書きだけはかなり面白い。
その面白いプロットが、どうしたらこんなにつまらなくなるのか、謎である。



とにかく、読めたものではない。
時間の無駄である。


これは言葉遊びか?       おすすめ度
一見上手そうに見えて実はリズム感皆無のゴツゴツした読みにくい文体については、好みもあるだろうから百歩譲って良しとしても、話があまりにも面白くない。モチーフは「コインロッカーベイビーズ」と類似しているが、面白さは比べるべくもない。こんなに面白そうな話をどうすればこれほどつまらなく書けるのか、とにかく不思議だ。おそらく、話と関係のない記述には力が入っているのに、心理描写など本来物語に必要な部分が全く描かれていないからなのだろう。買ってしまったので流し読みながら最後まで読んだが、読むのに苦痛を感じる本に久々に出会ってびっくりした。


ビート・音楽を感じさせる世紀末・破壊小説       おすすめ度
下巻のあとがき(解説)にも触れられている様に私も読中・読後、村上龍氏の「コインロッカー・ベイビーズ」を彷彿としましたが、自分こそが先行者であるかのように感じさせる強い後発者たり得る作者の意志を感じながら読了しました。
特に「踊り」を以って周囲を汚染させ破滅・破壊・世紀末へと疾走していくヒツジコの章はページをめくる手が止まりませんでした。

星-1での評価理由は、ヒツジコと同立たるトウタの章の疾走感が若干トーンダウンした様に感じた為です。
中途参加のレニ、クロイ(カラス)のパートの方がドライブ感が増していた様に思います。

然しながら、年齢を感じさせない著者のエネルギーには脱帽。



悪い意味でぶっ飛んでる。       おすすめ度
読んでいて苦痛だ、と心から思う作品に久々出会えた。

一番鼻についたのが、いびつな人物しか登場しないところだった。
名前のある登場人物も、名無しの一般市民も言動があまりにも幼稚。
いびつな思考ばかり描写されるから、著者が頭を必死にこねくり回して人物造詣を考えたんだろうなぁと思ってしまう。
とにかくそういった人工臭さしか感じられない。
(言い換えれば「人間」と呼べるような人物が殆どいない。
 壮絶な過去があったとはいえ、一度母親に冷たくされただけでセカイを滅ぼすって(笑))
世界観設定(少し未来の日本)も下手で、中途半端にリアル志向なので「これぶっ飛んでるよなぁ」と割り切って楽しむこともできない。
人物造詣も世界観も、ぶっ飛んでるならぶっ飛んでるなりに説得力は必要だよ。
そういう作品を前にして、「考えるんじゃない、感じるんだ」なんてことを言われても白けるだけだ。

「カタストロフの中の失踪する少年・少女の暴走物語」っていうのだったら、
池上永一の方がよっぽど上手い。

「ベルカ」と「ロックンロール七部作」があまりにも凄かったので期待したんだけど・・・残念。


壊れたトロッコに乗って暗闇を疾走するような       おすすめ度
幼少時に無人島で2人だけで生き抜いたトウタとヒツジコ。
ティーンエイジャーになった彼らが上陸したのは、
ヒートアンランド化が止まらない熱帯都市東京。
神楽坂、西荻窪を中心に、彼ら2人は行動を起こす。本能的に。

非文学的で、かつ文学的。
無駄なようで、それでいて無駄ではない描写。
多用される倒置法。トウタとヒツジコの独特な台詞。
これらがどれも新鮮だった。

壊れたトロッコに乗って暗闇を疾走するかのようにスリリング。
その溢れるスピード感がたまらない。
ポップな表紙を裏切る、非ポップな傑作。