天使の梯子 Angel's Ladder (集英社文庫)
作者 村山 由佳
価格 480 円
出版社名 集英社
出版年月 2007/10
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■読者の評価     おすすめ度平均

「生きる」と言うこと       おすすめ度
この本は「天使の卵」の続編です。
でも、両方を通して読みたいのでなければ、この本だけで十分に楽しめます。

と言うか、「天使の卵」を知らないで読んだ方が、夏姫と歩太、それに春妃との関係が、主人公である“フルチン”こと古幡慎一と同様「謎」として読み進めることが出来るので、こと「天使の梯子」を読むにはむしろいいのではと思います。
それだけ、夏姫は「原罪」という言葉を使っていますが、彼らの背負っているものは大きく、その十年の重荷から一気に「解放」に向かうのが、この本のクライマックスで、そこでこそこの本の感動、共感が一気にやってきます。その効果がより大きくするためには、むしろ前作を読んでいない方がいいようにさえ思えます。

この夏姫が言う“原罪”とは、かつて心ない一言が取り返しのない結果をもたらしてしまったことにあります。
彼女は「誰に何を言われても消えない後悔なら、自分で一生抱えていくしかないのよ」と語っています。

「天使の梯子」という言葉は、雲間に隠れた太陽や月からの光が一本の筋となって地上に降りているのを言うようですが、この本は“原罪”を背負った夏姫に降りてきた「天使の梯子」について語っているようです。
言い換えれば、“原罪”を背負って生きてゆくのが、人間が「生きる」と言うことだと、夏姫が理解する、悟る本だと言えます。
そうしたことは、大なり小なり人が生きてゆく上で持っているものだけに、共感も大きいのだと思います。


何度も読みたいと思える本       おすすめ度
何気なく読んだ雑誌に掲載されていた短編小説を読んで、<あぁ、この文だ>と思いました。
この日のうちに図書館に行き、手に取ったのが天使の卵と梯子。私は梯子から読みました。

主人公は男の子だし、最初はつかみどころのない、やりきれなさがあったのだけれど、読み進める手が止まりませんでした。登場人物の一挙一動が胸を打って、苦しくて切なかった。

恋をしている、恋を終えた、これから恋をするすべての男女に読んでほしいと思いました。
私は「梯子」で感じた思いを大切にしたいので、当分は「卵」は読めないと思います。


量産型?       おすすめ度

 多作の村山先生。お忙しいのは分かるし、他にシリーズを抱えているのも理解できる。でも同じ集英社でしょ。調整できるでしょ。雑すぎるよ、この作品。主人公の扱いが酷すぎるよ! 名前も思い出せないよ! 文体もいつもと違うよ! プロットの時点で「ヤバイかも」って思ったでしょ!?

 真面目に書くと、最近の癒しブームや所謂「メンヘル」に阿った著作。前作の歩太よりもリアルな設定の主人公だが、それでも「創作」が無い小説に意味なんか無い。「能く聞く話の接ぎ剥ぎを、自分の著作に接いじゃった」、それじゃあプロじゃない。

 感動なんかに餓えちゃいない。ただ、心に滲み入る神韻のような美しい物語が読みたいのだ。お願いしますよッ、村山センセイっ!



文章はきれい       おすすめ度
「天使の卵」の続編になります。
古幡慎一は、バイト先のカフェで、かつてほのかに恋心を抱いていた担任教師、斎藤夏姫に再会する。
恋人同士のような関係でありながらも最後の一歩を踏みこませてくれない夏姫に焦れながらも、彼女に切り捨てられることが怖くて…

一日少しずつ読むには、いいお話だったと思います。
文章も相変わらずきれいでした。
ただ、ずっと読みふけるとどうしてもげんなりしてくるというか…あー、もういいから、と言いたくなる部分もありました。
特に慎一が夏姫を形容する言葉が、あまりにもくさかった。
はまれば気持のいい恋愛小説だと思います。


キラキラして眩しい。       おすすめ度
こんな恋愛したことないけれど、自分が浪人していた頃をせつなく思い出しました。
なんというか、あの頃の、19や20の頃の自分の感性にぴったりフィットする小説でした。

だからこの年頃の人にぜひ読んでもらいたい。

確かに話自体は陳腐かもしれない。けれど、それだけではない。
この全編に漂うピュア感はなんなんだ!いい大人がよ〜こんなの書けるなしかし。
と、いい意味で思った。
少なくとも今の自分には、同じような話を書いてもこんなふうには書けない。

そして人物、情景描写が非常に上手く、絵がありありと浮かぶのも魅力。
この作家はいろいろ見えてるんだなー、と感心させられる。
あたかも見えてるかのように人や物を描く。
さすがです、良い作家です