海を抱く―BAD KIDS (集英社文庫)
作者 村山 由佳
価格 630 円
出版社名 集英社
出版年月 2003/09
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■読者の評価     おすすめ度平均

理性と別物の性衝動       おすすめ度
女性作家の作品で激しい性描写が描かれると決まって生々しさに反論が出るがそれは自分の中の獣性に蓋をしたいという綺麗事ではないだろうか?
男はきっと女性の性に対する本音を聞くのが怖くて強がっているのだ。

『お互い納得済みの体だけの関係なら浮気ではない』という意見があり、
私自身も強く唱えていた時期があったが本書のように相手を受け入れる、あるいは相手を飲み込むという行為に結局感情が寄り添わないはずがないのでは?

異性にとにかく触れたくて、でも自分の欲望を認めたくなくて、その思いのすれ違いが青春小説だと思われ、
また父親からの自立と世の中を受け入れる一歩を描いた本書はまさにそれを体現していると思う。

夏の最中に読んでピッタリだったが、初秋の風を感じながら読むのもいいかもしれない。


大人が読むにはちょっと中途半端       おすすめ度
私自身が登場人物たちと年齢が離れているせいかあまり共感できる部分がなく、正直、これといった感動も感想もないというのが本音です。主要な登場人物のまわりには親や兄弟といった私とも比較的年齢が近い人々も出てきますが、この大人たちがだれもかれもステレオタイプな感じで新鮮味がなさすぎでした。主人公たちと同世代の子が読むと何かしら感銘を受けるのかもしれませんが、大人が読むにはちょっとなんとも中途半端な小説でした。特に男性の心理描写がいかにも女性作家が書いた男性の心理という感じで、リアリティにかけているような気がしました。


一度、性描写なしで書いてみて欲しい       おすすめ度
女流作家が「リアル」を表現し、読者にショックを与えて惹きつけようとすると、かならず過激で露骨な性描写に頼る羽目になる。その典型例ともいえるが、この作家の「おいしいコーヒーの入れ方」シリーズのアホくさいコバルト文庫チックな登場人物たちに比べれば、まあ現実的といえば現実的だ。エロに頼りすぎているととられないようにか、同性愛やら尊厳死やらと無理してエピソードをちりばめているので、欲張りすぎで消化不良な感は否めないが、それもこれも直木賞受賞作への布石だったのだろう。しかしこういう作品で登場人物を高校生にするのは、それだけでエロを「若い情熱と苦悩」にすりかえようとしているのが見え見えで好きになれない。
その直木賞受賞作も、結局は禁断の近親相姦の性描写に頼っている。一度、性描写や恋愛ナシの作品を読んでみたい。女流作家は、それが書けてこそ本物の作家になれると思う。


悪趣味       おすすめ度
誰もが認める優等生の女子高生、実はその内面は・・・
という設定はいい。セックスに過剰な=ほとんど
変態の域に達する関心があって、同性にも性的興味を
覚える、という設定もまあいい。だけど、、、
全く共感できなかった。この女子高生の「性的妄想」の
描写が汚らしくてヘキエキ。わざとそう書いてるんだと
言う向きもあるだろうが、たぶんこれが著者の実力。
うすぎたない、うすら寒い、そういうセックス描写。
「星々の舟」という、希代の三文小説で悪酔いしたのに、
怖いものみたさというか、性懲りもなく、また読んじゃった。
これが直木賞作家で、しかもこの小説も「若者の共感」を
得ちゃったりしてるんだからなあ。まいっちゃうねえ。


似ている…。       おすすめ度
主人公の女子高生の本心はまるで自分を見ているようで、ドキッとした。この作品でようやく私が何故村山由佳を愛読するのか悟った。
自分の中に男と女が同居している。ある時期まで私は同性に関心があった。女に目覚めていなかった。中学の時男の子に告白されてたかもしれないのに、私の視線は側で寝ていた同級生の女子に向いていた。
そういう性を持つ人間の業が創作の源となる。恥ずかしい事なのに書かなければいられない。