MOMENT (集英社文庫)
作者 本多 孝好
価格 560 円
出版社名 集英社
出版年月 2005/09
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■読者の評価     おすすめ度平均

自分ならこの時・・・と考える       おすすめ度
ちょっと前と今とでは、内容に対する捉え方が激しく違う。
生という「時」の経過を感じ、自分ならこの時・・・と考えた一冊。

人って決してきれいな生き物じゃない。
執着、執念、そういう負の感情こそが
リアルに人をあらわすのかな・・・と思う。

本多さんの作品って人の美しくない感情を扱うことが多い。
今作品もそう。
けれど、不思議とキレイな空気感の中に、人のソレ漂わせられる。
物語という作り物のなかに、感情というリアルを埋め込んだ感じ。

透明感のある文章が特長の不思議な作家さんだんと思います。
あと、それと…
最後に雲間に光を見せてくれる文章が素敵です。LOVE。


うう〜ん 読んだ中では一番の駄作か       おすすめ度
「I LOVE YOU」の短編がえらく気に入って何作か読みましたが
この人、基本的に長編には向いてないんでしょうね。
「正義のミカタ」でもそう思いましたが、目論みはいいとこ突いているのに
長丁場になると息が続かないというか、終わり駆け足になるというか.....

ムードで読ませるという書き方は、それなりに評価できることですが
(ツルツル読める文体というのは決して悪くはない)
それはあくまで徹底して>読ませ切ることが前提で
今回の作品、ラストは特にかなりいただけませんでした。

「MOMENT」の章は読ませ切るどころか終わり切れてなくて
とても見苦しいラストに持ち込んでしまっています。
主人公の幼馴染である葬儀屋の女性キャラも魅力に乏しく
まして おおよそ無頓着であったはずのこの彼女に
土壇場にきて好意を自覚するというくだりは
あまりといえばあまりでお手軽というしかない。

だだでさえ後味の悪い作品をさらに陳腐にしています。


リアルな描写       おすすめ度
寒気がするほどリアルな描写が読者の心を掻き立てます。
固定の主人公の短編といった感じですが、繋がりを持つそれぞれの話の輝きが素晴らしいです。
何故か泣きたくなる様な、そんな気分になります。
文章の表現も、申し分なし。
ただ、同じような設定?なので、最後のほうは飽きがきてしまったかも。
其れでも十分楽しめる本です。


死に際に何を願うかなぁ…       おすすめ度
俺は安らかな死に顔しか見たことはありません。はたして何を思って、何を願って最後を迎えたのかは当然まったくわかりませんが…関係ないですね、すみません。
この作者の考え方とか気持ちの置き所なんかがすごく伝わってくる作品だと思います。他の作品は読んでないですがこの本の傾向がたぶん全作品通して一貫してんじゃね〜かなっていう感じを受けました。
やさしくて読みやすい文体なので何時間かで読めるでしょう。本当に死に直面した人がこの作品をどう受け止めるのかは俺には見当もつきませんが、個人的には好きです。もしかするとどろどろのものを胸に詰まらせてる人もいるかもしれないし、本当に幸せな人生で幸せなまま亡くなっていく人もいるかもしれない。どうなりたいかは…なんか偉そうなんでやめます。ヒネずにそのまま読んでみてください、きっと作者の気持ちがストレートに胸に伝わると願います。


悲しく切ない「大人の寓話」。人間って不器用で愛らしいなぁ。       おすすめ度
大学生の主人公は病院でバイトをしていますが
ひょうんなことから病院には「死ぬ間際に最後の願いをききいれてくれる仕事人」
がいるということをしります。
そのうち、主人公はその仕事人になっていく。
単なるお涙頂戴のお話ではなく、人間の業や醜さ、そして儚さを
あらわしている良作です。

僕としては、田舎からでてきて水商売に身をそめて
だけど都会の中でトモダチも恋人もできずにひっそりと死んでいく
女性の話がとても切なくて、かなしくて、やさしいお話でお気に入りです。

短編ですが、各話には軽くおもわぬどんでん返しが用意されています。
人生の悲哀と希望をかいた作品。
本の帯にあった「人生の最後の望みはなんですか?」には
深く考えさせられた一冊。
氏の作品では「MISSING」や「ALONE TOGETHER」もかなりのオススメです。